議会活動

平成29年12月定例会議

平成29年12月定例会一般質問

(1)成田新市場の輸出拠点化機能を有する移転再整備について

 ①「第10次千葉県卸売市場整備計画」と市場移転整備の関連性について

 ②新市場の取り扱い能力について

 ③新市場と今の市場の主要施設の延べ床面積について

 ④施設建設の公設と民設の区分基準について

 ⑤高機能物流施設を「公設」とした理由について

 ⑥集客施設棟(情報発信施設)について

 ⑦市場使用料について

 ⑧強い農業づくり交付金以外の補助金、交付税措置の獲得について

 ⑨一般会計からの繰入金が約4億円になってもなお、市の財政、すなわち市民の生活に影響はないと言える根拠とは何か

 

一般質問の内容

◆雨宮 真吾

 政友クラブの雨宮真吾でございます。ただいまより、成田市議会会議規則62条2項の規定により、議長に対して通告し受理された内容のとおり質問をさせていただきます。

 今回は、1点のみ、成田新市場の輸出拠点化機能を有する移転再整備についてであります。早速、質問に移りたいと思います。

 まず1点目、県は平成28年8月に第10次千葉県卸売市場整備計画を策定し、その中に「本県農林水産業の振興及び新たな需要の開拓のため、国際空港・国際貿易港等に近い立地条件にある卸売市場等は、農林水産物の輸出に係る拠点としての積極的な機能発揮に努める。」と成田市を想定した記述があります。まるで県が主導するような内容であったため、当該計画に市場を有する自治体が従わなければならない、または県の計画どおりに市場を整備させるほどの力があるのか伺ったところ、県の計画に基づいて、市が移転整備を決定したのではなく、県の計画策定段階で、市の移転整備方針を受けて、国の補助金を受けるための要件である地域拠点施設として、指定を受けられるよう、市は千葉県と調整を図ってきたとのことでありました。

 ですが、仮にそうだとすると、そもそも市には、新市場を農林水産物の輸出に係る拠点として国際空港に近い立地条件に置きたいという思惑があり、さらに幾ばくかの国庫補助金も得られればと期待をして、成田市に利するように県に計画を策定してもらったということになります。このように、県に計画を書き直してもらったにもかかわらず、9月議会で報告された国庫補助金が総事業費の1割にも満たないというのは余りにも過少と言わざるを得ません。この国からの補助金については後に質問したいと思います。

 さて、こうした経緯から推量するに、成田市は、県計画が策定される前に、県と市の水面下でかかる協議があったこととなり、この時点において新市場の建設地である花植木センター跡地を市が購入することで決まっていたことになるのではないでしょうか。また、このように県に計画策定してもらったことが、県をして、その再利用に頭を悩ませていた花植木センター跡地を本市に売却せしめる結果になったのではないかと思慮いたしますが、見解を伺います。

 2点目、現在の市場の取り扱い能力は、青果物1日当たり38トン、水産物1日当たり44トンであるところ、新市場の能力は、青果物1日当たり90トン、水産物1日当たり47トンとなるとのことでありますが、このように能力を設定した根拠と算出方法を伺います。

 また、説明資料によると、水産物の処理能力は横ばいではありますが、青果物の処理能力は2.4倍を現状よりも見込んでおります。そこで、青果物を重点化している理由を確認したところ、青果物は加工需要の伸びなどを考慮し、国内取扱額の増額を見込んだとのことでありました。ですが、今回の新市場整備については、世界に日本の農水産物等のおいしさと食文化を提供し、輸出拡大を通じて日本の農水産業の発展に貢献する、このことを基本理念とし、新市場を輸出ビジネスの集積拠点として再生するものであり、国内取扱額の増額を見込むのは、市がみずから設定した基本理念と基本戦略に反するのではないでしょうか。右肩下がりの取り扱い状況の中で、なぜ青果物の国内取扱額の増額を見込むのか、あわせて増額を見込む加工需要の伸びの根拠について具体的な説明を求めます。

 また、現市場に比べて青果物は2.4倍も処理能力が増加するとしているにもかかわらず、処理能力は扱う商品の重量で決まるため、青果物を重点化したわけではないとの説明も受けております。その判断が重量であろうとなかろうと、誰がどう見ても、新市場が水産物より青果物をメーンに扱うことは明白であります。ですが、青果物能力増加は、主に国内向けに対応するもので、水産物は旧市場と変わらないとのことでありました。ただ、そうなると、どこに海外向け輸出拠点の位置づけがあるのでしょうか。もっぱら国内向け対応であるのであれば、空港のそばに整備をする必要がなくなってしまいます。新市場整備の目的と取り扱い能力設定の整合性について説明を求めます。

 3点目、新市場と今の市場の主要施設の延べ床面積を見ると、水産棟が約1.5倍になっているのに対し、青果棟はほとんど変化がありません。

 まず、水産棟についてですが、水産物取扱高は今の市場とさほど変わりがないにもかかわらず、売り場の温度管理のために、空調機器等を設置する機械室、電気機器を設置する室が必要としてこの規模となっております。今の市場は、これらがなくとも運営されてきたと思いますが、過剰な施設整備にならないのか伺います。

 次に、青果棟については、水産棟とは全く逆で、今の市場と延べ床面積は変わらない一方で、取扱高は2.4倍も増加することを見込んでいます。このことについては、今の市場においても、青果・水産を合わせて280億円以上の取扱高を経験しているから不足はないとの説明を受けております。

 金額と商品の占有するスペースが必ずしも比例するものではなく、単価が高い商品であれば、少数でも取扱高は高額となり得ます。そもそも新市場は、今の市場とは目的を全く異にする施設であり、過去のデータと比較すること自体が、そもそもナンセンスと言えるのではないでしょうか。そこで、新市場の施設能力として試算した取り扱い能力でも十分機能するとした根拠を伺います。

 4点目、施設建設の公設・民設の区分基準について伺ったところ、青果・水産の市場機能部分と加工、パッケージング、輸出手続を1カ所で実施する輸出拠点を備えた高機能物流拠点施設は公設、市場の補完施設である関連食品棟と集客施設棟は民設とのことでありましたが、この判断は、どのような議論経過による、どのような根拠によるものなのか伺います。

 5点目、高機能物流施設を公設とした理由として、コールドチェーンの確保、合築による施工効率の向上というふうに伺っておりますが、整備面、経費面、エネルギー面においてどの程度の低減が見込まれるのか伺いたいと思います。

 6点目、そもそも集客施設棟、情報発信施設ですね、とはどのような施設なのか。あわせて公設・民設の整備費の比較について伺います。

 7点目、市場使用料について、2割相当の値上げを基本とし、水産売り場は、徹底した温度管理など、新たな機能強化に係る整備費を考慮して、負担公平の観点から、さらに1割程度の加算を行う料金設定とするというふうに伺っておりますが、これらの値上げ、加算の正当性について伺います。

 また、高機能物流棟の賃借料の内訳については、ワンストップ輸出拠点施設で800万円、加工場で8,400万円、冷蔵・冷凍施設で6,700万円、インターナショナル・商社エリアで1,100万円、合計で1億7,000万円と伺いました。そこで、機能物流棟賃借料における施設ごとの算出根拠について伺います。

 8点目、国庫補助金12億8,000万円については、農林水産省の強い農業づくり交付金の地方卸売市場整備に関するもので、輸出促進に向けた取り組みを行う地方卸売市場に対し、売り場や加工施設などに対して、補助率3分の1の補助金であるというふうに伺っておりますが、国家戦略特区を活用、国の方針にのっとった取り組みにもかかわらず、総事業費に対する国庫補助金が1割にも満たないのは過少と言えるのではないでしょうか。活用できる国の補助金は、本当に農水省の強い農業づくり交付金しかないのか、県からの支援はないのか、または交付税措置は受けられないのか伺います。

 9点目、一般会計から繰入金が約4億円になっても、なお市財政、すなわち市民の生活に影響はないと言える根拠は何でしょうか。この質問に対し、現在の卸売市場についても、平成4年当時に3億円を超える繰り入れ実績があったこと、また当時の財政規模が一般会計歳出総額383億円であったことを思えば、平成28年度、今年度が609億円規模であり、健全な財政運営が保たれていることから、市財政に大きな影響が生じないとのことでありました。

 ですが、果たして今から二十数年前の実績をもってして、何の論拠になるのでしょうか。当時求められていた市民サービスや政策課題、人口構造が今と異なる以上、安易に比較することはできないと思います。本件事業については、121億円という借金を未来の市民が負うか否かの選択と言えます。数十年前の過去との比較ではなく、毎年4億円の借金返済に迫られたとしても、市民生活に重要な政策であり、毎年4億円の借金返済に迫られたとしても、市民にさらなる充実したサービスを実施することができ、毎年4億円の借金返済に迫られたとしても、決して財政的に不安はないんだということを明示すべきではないでしょうか。

 そこで改めて伺います。一般会計からの繰入金が約4億円になっても、なお市の財政、すなわち市民の生活に影響はないと言える根拠は何でしょうか。将来の市政運営の想定をもとに答弁をいただきたいと思います。

 以上で、壇上からの質問とし、答弁により自席にて質問させていただきます。


○伊藤竹夫議長

 小泉市長。

 〔市長 小泉一成君登壇〕

◎市長(小泉一成君)

 雨宮議員の新生成田市場の輸出拠点化機能を有する移転再整備についてのご質問にお答えいたします。

 まず、第10次千葉県卸売市場整備計画と市場移転整備の関連性についてでありますが、卸売市場の再整備につきましては、成田市公設地方卸売市場運営審議会から平成25年12月に、現在の場所での再整備を趣旨とする答申をいただいておりましたが、引き続き市場を取り巻く環境が厳しい状況の中、これまでと同様の卸売機能のみでは市場の発展は図れないものと考え、さらに詳細な検討を必要とし、整備方針の決定には至っておりませんでした。その後、農林水産物の輸出を成長戦略の柱として進める国の支援もあり、成田市場の輸出拠点化に向けた調査研究を進め、平成27年度に実施いたしました農林水産物の輸出実証事業により、新たな取り組みによる発展の可能性は十分あるものと考え、平成28年2月に開催した成田市公設地方卸売市場運営審議会へ、農林水産物の輸出拠点化に再整備当初から取り組むものとし、空港に近い場所などへの移転による再整備として再諮問し、同審議会において3月、4月の集中審議を経て同年5月に答申をいただきました。

 答申の内容につきましては、成田市場を輸出拠点機能を有する市場として再整備していくものとし、輸出に取り組むためには、必要十分な面積が確保され、成田空港、東関道や圏央道の充実した交通ネットワークを最大限活用できる、より空港に近い場所などへの移転による再整備に取り組んでいくものとするとのことでありました。

 その後、市場の移転再整備に係る整備方針に関する調査及び検討を行うことを目的として、庁内に副市長を委員長とした成田市場再整備検討委員会を平成28年7月に設置し、7月から8月にかけて計4回の会議を開き、移転候補地の選定について慎重に検討を重ねてまいりました。

 候補地の選定に当たりましては、1点目として、成田空港に近接していることや空港・幹線道路からのアクセス面がすぐれていること、2点目として、土地に係る制約が少なく、事業着手までの期間が短縮可能であること、3点目として、インフラ等の周辺環境を含め施設建設が容易であることの3項目により検討を進め、幾つかの候補地の中から千葉県花植木センター跡地を移転候補地として決定したものであり、移転候補先につきましては、このような検討経緯を踏まえて決定したものでありますので、ご指摘にあるようなことはございません。

 次に、新市場の取り扱い能力についてでありますが、新市場における1日当たりの処理能力を青果物90トン、水産物47トンとした根拠といたしまして、都市計画決定上の処理能力は、目標金額を重量換算して算出しております。

 青果物については、加工需要の伸びなども考慮して、国内取扱高の増額を見込むとともに、今後の成田市場の戦略として、航空機を活用し、これまで日本産農産物について、取り扱いの少なかったEU諸国やアジア内陸部に向けて、高価格帯の青果物などを輸出することにより、取扱量の増加を見込んでいることから、取り扱い目標に見合った1日当たり処理能力を設定したものであります。

 なお、目標金額につきましては、平成36年度の取扱高を青果物44億9,100万円、水産物115億6,400万円、合わせて160億5,500万円と見込んだものであり、金額ベースでは、水産物が青果物を大幅に上回っているものです。算定の根拠といたしましては、青果物、水産物ともに、国内取扱高については、過去の取扱高や加工需要の伸び率などを考慮するとともに、市場内の取り扱いルールの徹底による市場取扱高の増加を見込み、輸出高につきましては、翌年に当たる平成37年度の目標額88億円に向けての値を算定したものであります。

 さらに、加工需要の伸びにつきましては、国内消費者のニーズが多様化する中にあって、いわゆる中食食品の需要は増加傾向にあり、それに伴いカット野菜や野菜惣菜などの加工食品の販売金額も年々増加していることが統計データからもうかがえます。

 また、市場整備の目的と取り扱い能力設定の整合性についてでありますが、新市場は、市民に対し安定的に生鮮食料品等を供給するとともに、世界に日本の農水産物等のおいしさと食文化を提供し、輸出拡大を通じて日本の農水産業の発展に貢献することを基本理念としており、青果物と水産物、国内向けと輸出向けをバランスよく供給できるよう市場の取り扱い能力を設定しているものであります。

 次に、新市場と現市場の主要施設の延べ床面積についてでありますが、まず各売り場面積につきましては、農林水産省が示す算定式により目標取り扱い数量などから算出した上で、場内事業者などにヒアリングを行い設定したものであります。

 水産棟については、通常の売り場部分に加え、売り場の温度管理を行うために、空調機器などを設置する機械室や電気機器を設置するスペースが必要となることや、施設の2階には、現市場にはない仲卸事務所や仲卸組合事務所及び見学用通路などを設置することにより、面積が増大しております。そのうち、空調機器などの設備は、施設内の温度、衛生環境を効率的に維持、管理するためのコールドチェーンの確保には、将来を見据えた市場にとっては欠かすことのできない設備であります。

 また、青果棟については、面積の増大につながるような機能も限定され、現市場での過去の売り上げ実績や、新市場での取り扱い品目の単価の上昇見込みなどから総合的に判断しても、適切な規模であると考えております。

 次に、施設の公設と民設の区分基準についてでありますが、青果及び水産の売り場などの本来の市場機能に係る施設と、加工、パッケージング、冷凍冷蔵保管、輸出手続を1カ所で実施する輸出拠点機能などを備えた高機能物流拠点施設については、将来を見据えた市場にとって必要不可欠な機能であるとの判断から、公設での整備といたしました。

 また、本来の市場機能を補完する施設である関連食品棟と集客施設棟については、整備や運営に当たり、民間企業の専門的な知見が求められること、さらには全体事業費の縮減なども考慮の上、民設・民営としたものであります。

 特に、集客施設棟については、情報発信機能を備えることとしており、それらの実践につきましては、民間企業のノウハウが必要とされ、実際に店舗営業やイベントなどを企画運営する民間事業者が施設を整備し、使い勝手のよい施設とすることで、集客及び売り上げに最大の効果をもたらすものと考えられることから、民設といたしました。

 次に、高機能物流拠点施設を公設とした理由についてでありますが、同施設を青果棟と水産棟と合築して公設にて整備することで、おのおのの棟を別々に整備する場合に比べ、外壁の面積が減るとともに、限られた敷地を棟ごとの建設作業範囲に分割せずに施工することができるなど、施設全体の円滑な工事監理が可能となり、一定の整備費の削減にもつながるものと考えております。

 また、設備機器などを一体的に利用でき、エネルギー効率の向上などでも、一定の低減効果が見込まれることから、それらの要因を総合的に判断した結果、高機能物流拠点施設を青果棟や水産棟とあわせて公設で整備することとしたものであります。

 次に、集客施設棟についてでありますが、同施設は、情報発信拠点として、消費拡大に結びつくインバウンド需要の獲得と新たな観光拠点としての役割を目指す施設であり、空港滑走路に隣接している特色を生かした観光スポットとして民設にて整備することとしております。仮に、同施設を公設での整備といたしますと、さらに20億円以上の新たな施設整備費が必要となるものと見込んでおります。

 次に、市場使用料についてでありますが、市場使用料については、2割相当の値上げを基本とし、そのうち、水産売り場につきましては、徹底した温度管理など新たな機能強化にかかる整備費を考慮して、さらに1割程度を加算する料金設定といたしました。それらにつきましては、他市場における整備や改修に伴う新たな料金設定の実例などを参考にするとともに、受益者負担の観点や市場会計の収支見通しなどを総合的に勘案した上で、設定したものであります。

 また、高機能物流棟の施設ごとの賃貸料内訳の根拠でありますが、当該施設の整備に要する費用及び加工業者などの民間事業者へのヒアリングをもとに単価を設定し、それぞれの賃貸面積を乗じることで算定しております。

 次に、強い農業づくり交付金以外の補助金、交付税措置の獲得についてでありますが、市場の再整備事業に活用する補助金につきましては、農林水産省の強い農業づくり交付金のうち、地方卸売市場整備に関するもので、輸出促進に向けた取り組みを行う地方卸売市場の施設整備に対し、事業費の3分の1以内の割合で補助されるものであります。

 しかしながら、現状では、交付対象事業費の単価そのものが、実際の事業費ベースの3分の1程度であることや、交付対象施設も、売り場や輸出拠点施設、加工場、保管施設など一部の施設に限られることから、結果として1割程度の補助となっているものです。

 現行制度のもとでは、今回の市場整備に対する補助メニューは、当該補助金に限定されておりますが、来年度の国の概算要求においては、従前の中央卸売市場の整備を優先していた内容を見直し、中央・地方の垣根をなくし、高度な品質・衛生管理や輸出拠点としての機能発揮などに沿う形で補助メニューを再編しております。

 今後は、補助率アップの可能性などについて、国の動向を注視していくとともに、輸出拠点化は国の輸出戦略や県の輸出促進の取り組みにも寄与するものでありますので、国や県にもさらなる財政支援を働きかけていくことで、市の負担額の軽減に努めてまいりたいと考えております。

 普通交付税につきましては、市場費として、個別算定経費の対象とはされておりませんが、公営企業債の借り入れにおいて、国の補正予算債を活用できる場合には、需要額にその元利償還金相当額を算入することができます。

 しかしながら、本市においては、平成32年度に市町村合併による特例措置期間が終了するため、平成33年度以降、普通交付税が交付されることはありません。

 また、空港関連経費など普通交付税では措置されない特殊な財政需要につきましては、特別交付税の対象とされる場合がありますが、現時点において、本事業が措置される可能性は少ないものと考えております。

 次に、一般会計から公設地方卸売市場特別会計に約4億円を繰り出しても、市の財政に大きな影響が生じることはないと判断した根拠についてでありますが、新市場の収支計画上、公設地方卸売市場特別会計に対する一般会計からの繰出金は、平成37年度で約4億円になるものと推計しております。

 平成28年度の決算において、約1億5,000万円を繰り出していることから、平成37年度では約2億5,000万円の増額となりますが、平成34年度までには、国家戦略特区推進事業に基づく医学部の誘致や、継続費を設定しているニュータウン中央線整備事業、大栄地区小中一体型校舎建設事業などの大規模事業が全て完了し、投資的経費が逓減していくものと見込んでおります。

 さらに、緩やかな景気回復を背景として、本市の基幹税収である固定資産税や個人市民税などが堅調に推移していることから、繰出金が増加した場合においても、健全な財政運営は十分可能であると判断したものであります。

 新市場の整備は、日本初のワンストップ輸出拠点機能を備えた市場として、国内外から注目され、本市のブランド力のアップ、知名度のさらなる向上につながるものと考えております。

 また、新鮮で高品質な生鮮食料品の提供や、周辺地域での雇用の創出が期待されることに加え、集客施設が新たな観光の目玉となり、国内外からのお客様が新生成田市場を目指して訪れることも想定されるなど、NARITAみらいプランで掲げる将来都市像の実現に向けて、大いに貢献できる施設であると考えております。

 今後も、本市が持続的に発展するため、行政改革などの取り組みを通じて、行財政の無駄を省きながら経費の節減に努めるとともに、地域経済の活性化、地域活力の創出につながる施策を積極的に進めることで、さらなる自主財源の確保につなげるという好循環を生み出し、収支のバランスを保ちながら、積極的な行政運営と健全な財政運営の両立に努めてまいります。


○伊藤竹夫議長

 雨宮議員。

◆雨宮 真吾

 では、順次、再質問していきたいと思います。

 まず、1点目ですけれども、供給量計画表を見ると、平成28年度から平成29年度にかけて、1日当たりの青果物取扱量は約3倍、水産物取扱量は約2倍となっています。

 しかし、新市場においては、平成30・31年度で建設をして、平成32年度に開場を目指しているわけでありまして、この整備スケジュールから言えば、平成29年度というのは、今の市場において運営がなされているにもかかわらず、取扱高が数倍にはね上がっている状況になっているわけなんですが、こんなことは到底考えられないと思うんですが、見解を伺いたいと思います。


○伊藤竹夫議長

 五十嵐経済部参事。

◎経済部参事(五十嵐昭夫君)

 供給量計画表は、現市場の実績と将来の推移を示させていただいたものとなります。平成28年度までの数値につきましては、実績ベースの数値を示させていただいておりますけれども、平成29年度以降の数値につきましては、将来推計として新市場の取扱高見通しを考慮するとともに、市場内ルールの徹底や現市場の場内事業者による輸出に向けた取り組みなどによる市場取扱高の増加なども勘案して算定したものでございます。


○伊藤竹夫議長

 雨宮議員。

◆雨宮 真吾

 そうすると、今おっしゃった新市場の取扱高の見通しの考慮、新市場内ルールの徹底と現市場の場内事業者による輸出に向けた取り組みなどによる市場取扱高の増加を勘案することによって、現市場でも来年度は数倍にはね上がると、これは言えるんですか。


○伊藤竹夫議長

 五十嵐経済部参事。

◎経済部参事(五十嵐昭夫君)

 先ほども申し上げましたけれども、平成28年度ベースに将来の目標に向けて推計を立てたもので、その経過として平成29年度があるというふうにご理解いただきたいと思います。よろしくお願いします。


○伊藤竹夫議長

 雨宮議員。

◆雨宮 真吾

 答えにくいと思うんです。要は、できないということなんですよね。結局、平成29年度の実績は、これは要は平成37年度の目標取扱高を達成するために、逆算していった結果、この数字が浮かび上がってきました、だから、数値を入れましたということになっちゃうわけです。そうすると、この数字を示しているという、それを議会に出してきているということ自体で、私は不適切ではないかというふうに思う次第であります。ですので、こういう適当な数値を出すのではなくて、具体的な根拠と理論値に基づいた数字を出していただかないと、なかなか議論には至らないのではないかという気がしております。これは指摘しておきたいと思います。

 続いてなんですけれども、市場の敷地規模の算定についてなんですが、これは見たら、昭和56年の千葉県都市部長通達に基づく算定式を使っているんですけれども、これもこの算定式自体が35年以上も前の算定式を用いているんですけれども、このことの正当性についてどのようにお考えですか。


○伊藤竹夫議長

 三橋都市部長。

◎都市部長(三橋道男君)

 昭和56年の千葉県都市部長通達でございますが、市場などの供給処理施設の都市計画決定をする際に、標準的な敷地面積と下限の敷地面積などの基準値を示しているもので、現在も都市計画決定の際には参考としてお示ししているものでございます。この部分につきましては、特段、支障ないものと考えております。


○伊藤竹夫議長

 雨宮議員。

◆雨宮 真吾

 これまでであればよかったのかもしれないんです。ただ、当時のその35年前の算定式の中に、今回、新市場をどうしようかと言ったら、日本のこの巨大経済拠点へと成長させようという、そういう意気込みが込められた市場であるにもかかわらず、35年前のその部長が通達してきたこの計算式を使うということが、果たして正当なのか。当時、そのときそうした思いとか考え方が含まれていたのかというと、甚だ疑問だという気がしております。

 続いて聞いていきたいと思います。集客施設棟、これを民設とした理由として、専門的な民間の知見を活用することがふさわしい、また整備費の観点からということでございましたが、建設に当たり必要とされる専門的な民間の知見とは、一体どういうものなのか伺いたいと思います。


○伊藤竹夫議長

 五十嵐経済部参事。

◎経済部参事(五十嵐昭夫君)

 集客施設は、情報発信拠点として、消費拡大に結びつくインバウンド需要の獲得と新たな観光拠点としての役割を目指すものであります。それらの整備に当たりましては、専門的な民間の知見として、立地調査や商圏調査などを含めたマーケティング力、情報収集や情報発信能力、さらにはテナントの運営支援に係る実務能力などが想定されるところでございます。集客施設棟につきましては、このたび市場関連施設整備及び運営等事業者選定支援業務委託を締結しまして、改めて最適な公募条件などを整理していくとともに、この中で具体的な内容を検討してまいりたいと考えております。


○伊藤竹夫議長

 雨宮議員。

◆雨宮 真吾

 集客施設棟の整備については、先ほど市長の答弁で、公設にした場合、約20億円上乗せされることになるよという話だったんですね。ただ、想定されるものとして、情報発信施設ですから、マーケティング、商圏調査、情報収集、情報発信、このあたりというのは、正直素人の私でもそうだろうとわかるんです、名称を見れば。でも、果たしてそこに民設にした場合、何で20億円かかるのかというところが、全く見えてこない、一般論でしかないわけなんですよ。だからこそ、今回の業務委託を締結したことで、しっかりとその内容を詰めていかれるということなんですけれども、どうしても答弁が何々だと想定されていますというような表現が多いので、他人事のように感じてしまうので、ぜひ市も主体的にこの業務締結をしたからお任せするのではなくて、主体的に、どういうふうな情報発信施設にしていくのかというふうに考えていく必要があるだろうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続いて、インターナショナル・商社施設を設けることによって、海外バイヤー、日本の輸出加工事業者がテナントを構えることができるということなんですけれども、これは内容の性質を見ると、輸出関連事業者同士の市場内の商談を可能にするための施設なわけですから、であれば、民設にするのが当然だろうというふうに思ったんですけれども、概算工事表を見ると公設となっているんですね。何でこれが民設ではなくて公設になってしまったのか、まず伺いたいと思います。

 そして、この海外の先進的な市場の仲卸や現地輸入商社などを想定しているということでおっしゃっていたんですけれども、市は、既にこのあたりの入居事業者については恐らく目星ついていると思いますので、入居事業者については、先ほどおっしゃっていた想定というのではなくて具体的な国籍、具体的な社名についてもお答えいただければと思います。


○伊藤竹夫議長

 五十嵐経済部参事。

◎経済部参事(五十嵐昭夫君)

 インターナショナル・商社加工施設につきましては、輸出拠点機能を備えた市場にとっては必要であるとの考えのもとに、当初から公設での整備を予定しておりました。なお、同エリアを活用いただける可能性のある事業者につきましては、ヒアリングなどを通じまして、入居の可能性等を調査しているところでありますが、国内で前例のないワンストップ輸出拠点機能を持つ高機能物流拠点施設への関心は非常に高く、現段階では具体的な名称などは差し控えさせていただきますけども、既に輸出について実績のある事業者を含め、入居に向けて前向きな検討をいただいているところでございます。


○伊藤竹夫議長

 雨宮議員。

◆雨宮 真吾

 具体的な名称についてはしようがないかなという気もするんですが、具体的な幾つか来ているんだという話でありました。ただ、私が思うのは、何で民間業者のための施設を市が公設で用意をしなければならないんだろうか。そして、その答弁が、輸出拠点機能を備えた市場にとっては、必要不可欠な施設であるということで、短絡的に結論づけられているんですけれども、ここが納得できないんです。何で輸出拠点機能を備えた市場にとっては、その施設が必要で、それを公設で用意しなければならないのかという議論がない。根拠もわからないので理解ができないということでありますので、もちろん民間事業者からすれば、何て気前がいいんだろうという気がするので、彼らにとってみればいいのかもしれません。ですが、これらを実現するに当たっては、市民の税金を使うんだということを踏まえれば、果たして本当にこの施設を公金を投じてまでやるべきものなのかという部分については、いま一度検討いただきたいというふうに思います。

 続いて質問していきたいと思います。新市場への一般会計からの繰入金が、平成36年度から増額していますが、その理由については、その営業費用の3割と起債の償還金の5割をルール分として繰り入れて、起債の償還は、元金償還を5年据え置きとしているため、平成36年度で一度起債の据え置き期間が終わるため、起債の償還金が増額となって、その結果、繰入金が増加するんだというふうに伺っておりますが、こうしたルールや元金償還を5年据え置きとしているのは、何を根拠としているのか伺いたいと思います。


○伊藤竹夫議長

 五十嵐経済部参事。

◎経済部参事(五十嵐昭夫君)

 まず、繰り出しに係るルールにつきましては、総務省による地方公営企業の繰り出し基準により定められているものでございます。また、起債の元利償還金のルールにつきましては、一般的な起債の借り入れに当たっての条件を参考にしております。


○伊藤竹夫議長

 雨宮議員。

◆雨宮 真吾

 では、次にいきます。民間歳入額と人件費、歳出額ですね、が2050年まで全く変化がありませんが、これについては、貸地料、そして人件費に変化がないというふうに判断をされた根拠、またその内訳について伺いたいと思います。


○伊藤竹夫議長

 五十嵐経済部参事。

◎経済部参事(五十嵐昭夫君)

 民設の歳入額につきましては、貸地料等で構成しておりまして、現段階で見込んでおります貸付面積などに応じて積算をしているところから、一定額としております。人件費につきましては、市場勤務の市の職員人件費を想定してございまして、収支シミュレーションでの人件費につきましては、直営を基本としており、人件費の根拠につきましては、直近の平均人件費に基づいております。職員の人員構成につきましては、現在と大きな変更はないものと想定のもと、人件費を見込んでおります。


○伊藤竹夫議長

 雨宮議員。

◆雨宮 真吾

 ここなんですよね。新市場を成田市の、日本最大の巨大経済拠点へと成長させようという気概があって、そして先ほどの供給量の計画表、こちらについては、すごく大きく見積もるにもかかわらず、この部分については非常に保守的になっているんです。

 今後、仮に日本最大の経済拠点へと成長していったにもかかわらず、土地の貸付料が不変であるというのは理解しがたい。そうなっていった場合、必ず貸付料が変わってくるのが当然ですよね、むしろ。そのあたりの見込みというのが、何でここの部分だけなされていないのか。また、人件費についても、過去の平均値を利用されていると言っているんですが、これも根拠が余りにも軽薄ではないかという気がいたします。

 私の質問は、この新市場の歳入に係る非常に重要な問題だろうというふうに思っております。その意味では、例えば、この市場を直営とした場合どうなるのか、指定管理者を入れた場合はどうなるのか、たったこの2点だけでも、職員の人員配置、どのぐらいになるのかというのは全く変わってくるはずなんですよね。だから、同じであるというのは、これは絶対にあり得ないというふうに思うんですが、もしかしたら直営の場合であっても、指定管理者を入れた場合であっても、今の職員数のまま変わらず行けるんだということであれば、そうであるということをご説明いただきたいと思います。


○伊藤竹夫議長

 五十嵐経済部参事。

◎経済部参事(五十嵐昭夫君)

 先ほどの答弁とちょっと重なるところがございますけれども、現状の収支シミュレーションといたしましては、直営の運営を基本として算定しておりますことから、現行の人件費をベースとしているところでございます。今後は、このたび締結いたしました市場関連施設整備及び運営等事業者選定支援業務委託において運営方針も整理いたしまして、その中で具体的な内容を検討してまいりたいと考えております。


○伊藤竹夫議長

 雨宮議員。

◆雨宮 真吾

 では、次にいきます。光熱水費や清掃などの業務委託料、負担金、そして積立金などといった管理運営費が平成36年度から減額に転じていくんですが、その理由について、開設から5年間は公債費が少なく、一定以上の黒字が見込めるため、黒字額の一定割合を積み立てるが、その積み立て分が平成36年度以降、減少することによるんだというふうに伺っております。黒字額を積み立てる割合の考え方と、示されている試算どおりに一定割合の積み立てができなかった場合については、どのように対応をしていくのか、お伺いしたいと思います。


○伊藤竹夫議長

 五十嵐経済部参事。

◎経済部参事(五十嵐昭夫君)

 まず、黒字額の積み立てにつきましては、毎年度収支がある程度一定額となるよう積み立てをしております。また、一定割合の積み立てができなかった場合ということでございますけれども、現段階では毎年度2,000万円前後の収支の黒字を想定しておりまして、市場の運営には、大きな影響を生じるものではないというふうに考えてございます。


○伊藤竹夫議長

 雨宮議員。

◆雨宮 真吾

 毎年度2,000万円前後の収支の黒字ということですが、結局のところ、これは赤字となった場合は、一般財源を充てて黒字に見せかけるということになるわけですよね。そうなると、もはやこれは粉飾収支見込みになるということなんですよ。ですから、そもそも毎年度2,000万円前後の黒字というのも、これは市の希望的観測に基づく、そこに基づく想定でしかないわけなんですよね。

 ですから、もちろん担当部局としては、その希望的観測及びまた想定ではなくて、もっとしっかりと根拠、そして理論値を積み上げて議論をしていく。より現実に近い、先ほどおっしゃっていましたが、シミュレーションをしていくことがやはり必要なんだろうと、時間をかけてですね、気がするんです。

 これについては、なかなか答弁いただけないと思うので、次にいきますが、財政の見通しについてなんですけれども、市場会計に4億円繰り出ししても問題はないんだという答弁でありました。これも結局は当初見込んだだけの黒字が発生して、初めて一般財源の繰り出し総額が4億円と算出されただけの話であって、見込みどおりにいかなければ、全ての数値は狂ってくるわけですよね。しかも今回、市長から答弁いただいた、市は金銭的には大丈夫だという部分についても、様々な理由を、条件をクリアしなければ、大丈夫ではないということに今度なってしまうんですね。

 その答弁の1個目というのが、市の例えば医学部の誘致事業、ニュータウンの中央線整備事業、大栄地区の小中一貫校、こういったのが無事に完了して、市の投資的経費が減っていくということがまず1点。2点目が、日本経済の緩やかな回復による税収入の安定が確実になること。3点目が、市場が日本屈指のブランド力を発揮することが、もはや疑う余地もないということ。この3点が、全てクリアされて初めて、平成37年度に一般財源の繰り出しが4億円になっても大丈夫だというふうにおっしゃっているわけですね。

 こうなると、基礎自治体の財政が果たして、1番についてはいいとしましょう。ぜひ頑張っていただきたい。これは、市の事業ですし。ただ、日本経済の緩やかな回復による税収入の安定が確実になるなんていうことを言えるんでしょうか。どういう分析を図った上で、日本の財政は大丈夫なんだ、今後、何も起こることないというふうに言うことができるのかというと、これは答えられないと思うんです。

 これはどういうことかと言うと、今回の質問全てそうなんですが、本当に大丈夫なのかということを私はこれは言いたい。本当にそんなにうまくいくんですかということなんですね。全てが出されている見込みの条件の上に成り立っていて、見込みのそのさらに上に見込みの投資額があって、さらにその上に成り立つ見込みの黒字額になっています。全てが見込み、見込み。今、後ろでね、やってみなきゃわかんねえよ。そうなんですよ。やってみなきゃわかんない。だけど、やってどうなるかというのは、あらゆる角度から想定して、研究してシミュレーションをして、具体的な数字を持ち合わせてやっていく。これが市の事業じゃなきゃいけないんです。にもかかわらず、見込み見込みで全てが積み上がってきているので、これは一般企業だったら、これは株主総会を通らないと思うんですよね。

 あえて答弁求めませんけれども、るる今回、今様々な質問に答えていただきましたけれども、私が求める答弁というのは、正直いただけてないという気がしております。要は、安心できる数値、安心できる根拠となるものをいただけてないという気がしております。いずれにしても、最後につく言葉は理想であって、想定といった無味乾燥なものでありました。もちろん、他人から金を借りて起業しようともくろむのであれば、その将来性について明るい内容しか提示しない。これは、融資を受ける側からすれば当たり前だと思うんですね。

 仮に、ここで市長を融資を受けたい企業の代表者、そして市民を市長が融資をお願いしたいとする人たちというふうに仮定した場合、市長は、今ご自身で答弁された内容で、そして担当部局がお答えになられた答弁で、本当に市民が市に融資をしてくれるというふうに自信を持って言えるんでしょうか、これ。とにかく答弁というのは、新市場は成田市のためにある。その1点でありました。もちろんこの理想を掲げるのはいいことだと思いますが、それに合わせた理論値、根拠というのがなかなか出てきていないというのが、今の実情ではないかと思います。

 そもそも本件事業が全成田市民へ恵沢が還元されるものではないということは、実は市長の答弁の中から何となく感じることができました。農林水産物の輸出を成長戦略の柱と進める国の支援もありという部分、この農林水産物の輸出を成長戦略として目的としているのは、これは国であって、そもそも成田市の目的ではなかったはずなんですよね。それが、その再編理由が耐震対応であったにもかかわらず、いつの間にか国策を支援することが新市場事業の主たる目的へと変貌していったんだろうと思います。確かに、直接的に全市民の生活向上には直結しなくても、広義で言えば国民ですから、国の繁栄というのは喜ばしいことだというふうに思うんですが、そしてそれをもってして、だからそれもまた恵沢と言えるんだろうというふうに思うかもしれません。ですが、国策支援の本件事業は、結局、スズメの涙程度の国費しか得ることができず、その事業のほとんどが、成田全市民への多年にわたる多額の借金として重くのしかかるということに、今のところなっているわけです。

 私の質問を総括するのであれば、それでもいいんだと、それでも市民の益になるんだという確固たる判断が市長におありなのかということをお伺いしたかったということでございます。すなわち、これほどの額の公費をこれだけの年月に投入する、この事業を実施する目的の正当性、実施する時期の正当性、実施する経費の正当性の3点全てが、市民の理解と合意が得られた上で実施すべきであるはずではないかというふうに私は思っております。

 そこで、最後の質問なんですけれども、市長ご自身、今、私が申し上げました3点、目的、実施時期、経費の正当性、この全てにおいて、市長は全市民に対し本当に説明責任を果たすことができるのか、本件事業について、そのご覚悟があるのかお伺いをしたいと思います。


○伊藤竹夫議長

 小泉市長。

◎市長(小泉一成君)

 ただいま雨宮議員の質問につきましては、やはりこの市場輸出拠点化、確かに雨宮議員の指摘する点というものも考える、あるいは認識される方もあろうかと思いますけれども、これもやはり成田が国際空港を擁しているという点と、また、これから将来を見据えた場合、日本の人口が減っていく、いわゆるそれは日本の胃袋が減っていくということを考えた場合に、成田市の農業、あるいは水産物、そういったものを将来、持続のみならず発展させていくのには、やはり海外に打って出るべきだろうという理由もございます。

 そういうことも含めて、やはりこれは成田のみならず周辺地域の農水産物、また北関東の農水産物も視野に入れておりまして、この輸出拠点化市場が、成田の特に農業を救うという役割、また、もちろんそれに伴う地域の活性化に通ずる、また、成田の発展にも通ずると、そういった認識でおりますので、これは市民の方にもぜひご理解していただくよう、これからも鋭意説明してまいりたいと思っております。


○伊藤竹夫議長

 関根副市長。

◎副市長(関根賢次君)

 一つ議員のご指摘のように、そのシミュレーションという部分の中で、例えば人件費の想定が甘いのではないか、あるいはその貸地料の想定が甘いのではないかというようなお話でございますけれども、それは正直20年、30年後のことを誰が絶対にこうだということを予測するということは、これは私もできませんし、誰もできないことだろうと思いますが、ただ現時点で我々がその財政のシミュレーションをするときに一番大事なことは、歳入の面については過大に見積もらないということ、要するにこれが最大限確保できるお金ですよということの中で、その収支のバランスを考えていくこと、そして、人件費なんかを一つ言ってみれば、これは例えば枠が、例えば10人いるとして、平均で人件費が5,000万円かかるとしますとは言っても、例えばこれを直営で人を張りつける場合、20年選手と2年生の職員を配置するのでは、年間のその人件費というのは何百万も違ってくるわけです。

 そういうことも我々は、やはりそういう全体の人件費の枠の中で、そういう経常的な経費ができるだけかからないようにしていくということの、それこそ創意工夫、知恵を絞って、そういう経常的な経費がかからないようにしていくということ、これは絶対的に我々が今お約束できることであって、財政的なシミュレーションをする場合は、基本的にはそういうことが原則になろうかというふうに思います。そういう意味で、このシミュレーションをしているということは、ひとつご理解をいただければというふうに思います。


○伊藤竹夫議長

 雨宮議員。

◆雨宮 真吾

 お2人からありがとうございました。理解はしたんですけれども、そうすると、では今度、供給量計画表なんかは、実現可能な数字が本当にできていますかとなると、やはりこれについては、現市場では到底理解できないような数字が見積もられているわけですから、こういった部分については、やはりその見積もりの甘さ、シミュレーションの甘さ、また想定、見込みが余りにもちょっと多過ぎる。

 しかし、どんどん矢継ぎ早に議論が来てしまうので、タイムスケジュールがかなりタイトなので、非常に大変だろうとは思うんですけれども、議会なので市民の将来にわたっての税金をどういうふうに扱っていくのか、先ほども副市長もおっしゃっていただきましたが、そのあたりについては、我々も意識をしているわけですから、適宜情報を整理して、より正確な数値と想定され得る数値をもってして議論を深めていきいというふうに考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたして、私の質問を終わります。

 以上です。

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