平成29年3月定例会議
平成29年3月定例会一般質問
市政運営について
(1)市長の掲げる政策の進捗状況について
(2)財政運営について
(3)成田国際空港政策について
(4)医療学園都市構想の実現に向けて
(5)観光行政の推進について
(6)防災・減災対策について
(7)教育行政について
一般質問の内容
皆さん、お疲れさまでございます。本日最後の代表質問となります。市長の声も、3時間以上答弁をされていらっしゃるわけですから、だんだん喉のかれぐあいがちょっと心配になってくるわけなんですが、何とか最後は振り絞っていただいて、ご答弁いただければと思います。
それでは、ただいまより成田市議会会議規則62条2項の規定により、議長に対して通告し受理された内容のとおり、政友クラブを代表し代表質問をさせていただきます。
我が政友クラブでは、大きく5つの重点指針と60項目となる次年度の予算要望、そして政策提言を行っております。一日も早い政策実現に向けて、会派政友クラブ一同尽力してまいる所存であります。
そこで、まず小泉市長就任から10年目、3期目の任期折り返しを受け、市長が掲げられた政策の進捗状況についてお尋ねいたします。
次に、一般会計では、対前年比1.8%減の608億円、水道事業会計を含む特別会計を加えた全体では1.3%増の923億円余の予算編成と、行財政の無駄を省くとともに、より一層の経費節減に努め、事務事業の選択と集中を行ったとのことでありますが、新年度予算編成において、具体的にはどのような無駄を省き、どこに重点的に取り組まれたのか伺います。
次に、地方公共団体の財政の健全化に関する法律が平成21年4月に全面施行されて以降、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率については、公表の義務があります。成田市の平成27年度決算によりますと、両赤字比率については黒字であるため判断外であり、実質公債費比率は6.7%、将来負担比率は61.5%で、いずれも基準を大きく下回っており、その他経常収支比率、公債費負担比率からも財政の健全性は保たれており、財政力指数も1.25と高い値を維持していることが確認することができます。
ですが、それぞれの指標の推移を確認すると、国家戦略特区の医学部誘致などに伴い、市債残高、将来負担比率の上昇や財政調整基金の減少が目につきます。成田市は、平成33年度以降、交付税の不交付団体となります。そして、市債残高のピークとして、平成31年度に564億円が想定される中、今後の財政運営のあり方について伺います。
また、県内屈指の財政力指数を有する成田市でありながら、将来負担比率は基準値内とはいえ、佐倉市の0%、四街道市の0%など、政策的に抑えている近隣自治体と比べると、高く見受けられます。市債については、財政負担の平準化、世代間の公平化といった考え方もあると思いますが、将来世代に重い負担を強いることのない財政運営が求められると考えますが、市長の考えを伺います。
次に、成田国際空港政策について伺います。
成田国際空港は、発着回数、そして空港利用者数も右肩上がりに成長を続けており、名実ともに日本の基幹空港であると認識するものであります。ですが、首都圏空港の一翼を担っている羽田空港は、ますます機能強化に向け議論が進展、再国際化を盤石なものとするために都心上空を飛行機が往来する新飛行ルートの運用を進めるほか、米軍が管制圏を持っている横田空域の一部利用にも踏み込んでいます。また、これにあわせ国内線の第2ターミナルの一部を国際線として使うための大規模な改修工事を始めるなど、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、滑走路の処理能力を最大で年間3万9,000回ふやす計画が着実に進んでいます。
また、海外に目を転じると、中国・北京第二空港、上海浦東空港、香港空港、韓国・仁川空港、シンガポール・チャンギ空港など、アジア主要空港において新設滑走路の整備など、大規模な空港機能拡張が進められており、我が国を取り巻く国際空港間の路線獲得競争は、一段と激しさを増していると言えます。
政府は、2020年までに訪日外国人旅行者を4,000万人、2030年には6,000万人とする方針を掲げていますが、佐藤航空局長は、年頭挨拶の中で、2030年に訪日外国人旅行者を6,000万人受け入れるためには、成田空港の第3滑走路の整備やB滑走路の延伸、夜間飛行制限の緩和といったさらなる機能強化策が必要不可欠と述べられております。2015年9月から国土交通省、千葉県、成田空港周辺9市町及びNAAによる成田空港に関する四者協議会において、第3滑走路の整備、B滑走路の延伸、夜間飛行制限の緩和など、今後の成田空港の機能強化案について、地域への丁寧な説明と具体的な検討作業を進めるという確認書が締結され、地域への説明会を初め対話型説明会の開催など、地元との合意、これを最優先事項として期限を設けることなく、積極的に地域の声に耳を傾けられていると思いますが、さきの発言のとおり、2030年に訪日外国人利用者を6,000万人受け入れに向けて順調に整備を進捗させる場合、第3滑走路の整備、B滑走路の延伸、夜間飛行制限の緩和といったそれぞれの機能強化をどのようなスケジュール感で進めていくことが望ましいとされているのかお尋ねいたします。
次に、この機能強化については、平成28年9月に成田国際空港株式会社より成田空港のさらなる機能強化案として、新滑走路などの用地として空港敷地を約1,000ヘクタール拡大する旨の提案がなされました。1,000ヘクタール以上の敷地を有する空港は、羽田、成田、関西の3空港であり、今回新たに1,000ヘクタールの空港敷地を拡大するということは、地元が日本で4番目に大きな空港を新たにつくるという視点が必要になることは言うまでもありません。そこで、成田、首都圏、日本、そしてアジアの国際基幹空港としての役割を見据え、今後の国際空港都市づくりに向けた機能強化を地元としてどのように進展させていこうと考えているのか、お尋ねいたします。
さて、このような政治的判断を行うためには、最優先で騒音下住民の皆様の生活環境のより一層の改善を進めていかなければなりません。その第一としては、50万回の予測騒音コンターが示されたことを受け、集落が分断されている実態を改善し、集落への一体的な施策の推進を望むものであります。また、本事業の主体である千葉県においても、関係市町の意向を最大限に尊重しながら、騒特法の防止特別区域の見直しを行うものと思いますが、この件に対する市の見解をお尋ねいたします。
また、夜間飛行制限の緩和については、運用時間の拡大による機能強化に大きく寄与する一方で、深夜早朝と騒音下住民の皆様の睡眠時間を阻害するおそれがあることから、十分な環境対策を講じる必要があります。現在、内窓の設置や交付金などが提案されていますが、騒音はこの地に空港がある限り恒久的に続く課題であることから、落下物の危険にさらされない根本的解決を図るための移転地域の選定や住民の視点に立った対策や枠組みを検討する必要があると考えますが、成田独自の対策を講じることも含め市の見解をお尋ねいたします。
次に、空港圏のアクセス整備について伺います。
ノンストップゲート化の導入により、空港と地域の親和性が向上した一方で、今後の機能強化を見据え、さらなる空港圏のアクセス整備を進めることが求められます。圏央道や北千葉道路の国道295号空港通りへの接続を初めとした空港周辺道路網の整備を初め、鉄道アクセス向上に大きな効果をもたらす都心直結線構想について、新年度どのように取り組まれていくのかお尋ねいたします。
続いて、医療学園都市構想について伺います。
先日、特別委員会において国際医療福祉大学グループが運営する福岡市及び大川市、柳川市の医療、教育、福祉施設を視察してまいりました。高度で安定的な医療を提供するために、そのかなめとなる教育施設を整備して人材を育成し、その受け皿となり地域需要の高い介護・子育て支援施設を周辺に整備するなど、地域医療・福祉に貢献するだけではなく、学生たちが張りつき、職員が張りつくという経済活動のみならず、まちづくりに大きく貢献する国際医療福祉大学グループの展開は目を見張るものがあり、成田市でも救急医療や感染症患者の受け入れ、地域医療、地域経済、そしてまちづくりにも大きく寄与いただけるものと感じる機会となりました。
そこで、3点伺います。まず、大学病院での高度医療を受けるためには、市民が最初に受診する地域の診療所や病院との連携が重要になると思います。既に地元医師会と国際医療福祉大学の両者において意見交換を始めていると伺っておりますが、地域医療への協力体制をどのように構築されているのか、お尋ねいたします。
次に、大学病院へのアクセス整備について伺います。国際医療福祉大学グループの特徴は、さきの視察にもあったとおり、病院を中心に教育・福祉施設を整備することにより臨床などを容易に実現し、チーム医療、チームケアの精神のもと、関連職種連携教育が行われていることにあります。大学キャンパスにある公津の杜駅から、附属施設が整備され、畑ケ田地区を幹線道路で向かうと県道を利用しなければならず、病院開設時の交通量を考慮しても、外来患者、学生たちにとっても新たな幹線道路の整備など、アクセス改善が不可欠であると考えます。病院周辺整備とアクセスの改善について、どのように進めていかれるのか、お尋ねいたします。
次に、附属施設及び成田国際空港を核とした医療産業集積調査を平成28年度に行っていると思いますが、その結果と今後どのように医療集積を図るのか、お尋ねいたします。
次に、観光行政について伺います。
成田市は、日本の表玄関である成田国際空港、そして来年、開基1080年を迎える成田山新勝寺などの観光資源を有する観光立市の推進に当たり、その可能性を秘めた地域であると認識しております。こうした中、統合型リゾート施設、IR整備推進法が成立したことを受け、成田市及び周辺の経済団体で構成するIR誘致推進協議会が、IR誘致の可能性を探る調査の実施を求めています。そこで、IR誘致における見解と誘致可能性の調査を行う考えがあるのか、お尋ねいたします。
次に、IRと言えばカジノ、同時にギャンブル依存症という社会問題に直面することになりますが、我々政友クラブは、過去に香港の視察、香港国際空港に隣接する国際会議場、展示会場の分野に成田市の可能性を見てまいりました。また、カジノで有名なラスベガスは、既にその売り上げはカジノ以外のノンゲーミング部門で6割の収益を上げているなど、カジノに依存しない運営へとシフトしています。国際空港を擁する成田市として、国際会議場、展示会場といったMICE施設についての必要性と課題についてお尋ねいたします。
2点目として、昨年に訪日外国人旅行者が2,000万人を突破し、政府は東京オリンピックを迎える2020年には倍となる4,000万人を目標と設定しています。観光立市を目指す成田市は、観光局が実施しているビジット・ジャパンを初め、訪日インバウンドの強化に向けてアンテナを張り、県や国と連携して積極的に取り組むべきだと思いますが、2017年度におけるインバウンド政策への取り組み課題についてお尋ねいたします。
3点目として、国内向けの観光誘致政策としての来成促進と市内消費拡大にどのように取り組まれるのか、そして現在、策定中の観光推進計画についてお尋ねいたします。
4点目として、成田駅周辺の渋滞問題についても触れておきたいと思います。
JR成田駅東口第二種市街地再開発事業により、駅前がきれいに整備されましたが、京成成田駅やJR成田駅は観光的な側面としてだけではなく、平日の朝夕方は通勤・通学者で混雑する駅舎であります。ラッシュ時間帯になると、送迎の車であふれかえり、交通渋滞が発生し、乗用車が入り乱れ、クラクションが鳴り響き、そこを行き交う通行客を目にするとき、表玄関としての輝きは失われています。京成駅東口ロータリーには、乗用車の一時停留所が設けられておりますが、JR・京成の参道口、それに成田駅西口ロータリーについても対策を講じるべきだと思いますが、お尋ねいたします。
次に、防災・減災対策について伺います。
昨年末に発生した新潟県糸魚川市の大火災は、記憶に新しく、火災発生が日中だったこともあり、死者が出なかったことは幸いだったと思います。さて、この火災延焼拡大の原因は強風だったこと、木造密集地域だったこと、それに消防力の不足とされておりますが、例えば成田市の仲町の坂下は木造家屋が密集し、さらに坂になっていることから、糸魚川市よりも悪条件のように思われます。そこで、こうした地域への防火帯の整備の必要性と減災対策についてお尋ねいたします。
次に、2点目として、成田直下型地震発生の被害想定によると、冬の午後6時に風速8メーター毎秒の条件下で、市内全域の出火件数は10件となっておりますが、その後は186件への延焼が想定されております。あらゆる災害を想定した防災体制の強化を推進すべきだと考えますが、お尋ねいたします。
次に、大規模地震の発生時には、まずはみずからの身はみずからで守るという自助の考えに基づいて、命を守ることが大切であり、それがみんなで助け合う共助の活動に結びつくことになります。そこで、シェイクアウト訓練の実施による地域防災力・組織力の強化についてお尋ねいたします。
最後に、成田市の教育行政について伺います。
教育が国家百年の大計と言われるように、次代を担う子供たちこそが宝であることを思えば、画一的な知識の切り売りではなく、子供たちの知恵を育む学校教育の重要性を感じます。こうした中、新たな学習指導要領が2020年に小学校で、中学校では2021年度に実施されることになっており、まさに今がその移行期間であると思います。そこで、新しい学習指導要領によって教育がどのように変わっていくのか、外国語活動として3年生から始まる英語教育と成田市が行っている英語教育の連携をどのように図っていくのかお尋ねいたします。
また、新たに導入されるアクティブラーニングによって期待される効果とは何なのか。また、移行へ向けた研修体制、導入に係る課題などがあればお尋ねいたします。
次に、教職員の負担軽減を目的に国が進める校務支援システムを導入するとのことでありますが、そのメリットと円滑な移行についての課題があればお尋ねいたします。
また、校務支援システムを導入することにより、一定の業務改善が図られると思いますが、ICT化による業務改善によって軽減、生まれた時間が、本来教職員が最大限の時間を注ぐべき授業準備や児童生徒に向き合う時間に費やすことができる保証はなく、新たな事務作業や、新学習指導要領への対応、研修などに相殺されてしまうのではないかという声を聞いております。多忙化する教職員が、児童生徒と向き合う時間を確保すること、授業準備に十分な時間を費やすことが教職員の方々の技術向上、そして児童生徒との信頼関係へとつながっていくのではないかと考えますが、学校教育のかなめとなる教職員の皆さんの多忙化についてお尋ねいたします。
以上で、壇上からの質問を終わります。
○議長:小泉市長。
◎市長(小泉一成君) 政友クラブを代表されての雨宮議員の市政運営についてのご質問のうち、私の掲げる政策の進捗状況についてのご質問からお答えいたします。
まず、市長就任から10年、3期目の任期折り返しを受け、私の掲げた政策の進捗状況についてでありますが、平成19年1月の初当選以来、私の市政運営の基本であります「住んでよし 働いてよし 訪れてよし」をスローガンとして、全力で取り組んでまいりました。この間、少子高齢化や市民ニーズの複雑化、高度化に加え、地方創生への取り組みや空港の機能強化に向けた動きなど、本市を取り巻く社会経済環境が大きく変貌する中で、子育て支援の充実、福祉や介護体制の拡充、教育環境の整備、市役所の日曜開庁や総合窓口によるワンストップサービスの導入、さらには騒音対策の充実や積極的な観光戦略など、各種事業を着実に実行し、公約に掲げた政策はほぼ達成することができたものと考えております。
中でも、本市のまさに長年の懸案事項でありましたJR成田駅参道口の再開発事業や新清掃工場の完成、そして私の就任以来の公約でもありました高等教育機関である大学の開学が実現に至ったことなどが大きな成果と考えております。また、昨年8月には、国家戦略特区による医学部の設置が認められ、来月には医学部が、平成32年には附属病院が開設されることから、今後、地域医療や地域経済への寄与はもとより、大学との連携により保健や福祉の分野、文化的、社会的な面など、様々な効果をもたらし、本市のさらなる発展に大きく貢献するものと確信しております。このように、多くの公約を実現することができましたのも、ひとえに議員並びに市民の皆様の多大なるご理解とご協力によるものと心より感謝を申し上げる次第であります。
次に、事務事業の選択と集中についてでありますが、来年度の予算編成における事務事業の選択に当たり、行政評価の結果や行政改革推進計画に掲げた措置事項などを考慮し、実施計画のローリングを通じて精査するとともに、予算の見直しを図ったものといたしましては、決算額に基づき各部局への経常的経費配当額を徹底的に見直したことで、約1億8,000万円の経費を削減したほか、福祉手当の支給要件や市民の利用が少ない業務の見直しなどを行い、公正かつ健全な行財政の運営確保と、より一層の経費の節減に努めたところであります。
次に、重点的な取り組みについてでありますが、NARITAみらいプラン第2次実施計画を踏まえ、目指すべき将来都市像である「住んでよし 働いてよし 訪れてよしの生涯を完結できる空の港まち なりた」の実現に向けて、予算編成方針において8つの重点的に取り組むべき施策を示しておりますが、これらの中でも国家戦略特区の推進による新たな都市構想の実現、「観光のまち成田」の魅力発信と地域経済の活性化、空港の機能強化の具体化に向けた生活環境の改善と地域振興、安心して子どもを産み、子育てができる環境づくりの4つの施策は、特に重要であると考え、予算編成を行ったところであります。
本市の将来を見据え、これらの重点施策に対して積極的に取り組んでいくとともに、今後の財政運営に当たっては、長期展望に立った事業の展開を図り、より一層の経費節減に努める一方、事業の優先度や緊急性を十分精査し、健全な財政運営に努めてまいります。
次に、財政運営についてのご質問にお答えいたします。
今後、ますます多様化、高度化する住民ニーズに応えていくためには、これまで以上の施策の優先度や緊急性を見きわめ、各施策にスピード感を持って取り組み、自治体経営力を高めながら、持続可能なまちづくりを目指していくとともに、より一層の経費節減に努め、財政の硬直化を招かないよう健全な財政運営に努めてまいります。
なお、本市の将来負担比率は、大規模事業の実施に伴う借入額の増加により、来年度当初予算編成後の推計値で85.8%、その後は平成31年度まで上昇するものと推計しております。この数値は、早期健全化基準を大きく下回っている状況であり、また現在取り組んでいる大規模事業の完了に伴い、将来的に逓減していくものと見込んでおりますことから、今後につきましても、市の財政の健全性は引き続き十分維持できるものと考えております。
市債は、本来、公共施設の整備など、長期的に使用する財産を取得する際に、その負担を現在の住民だけでなく、将来の住民にも担っていただくことで、世代間の負担の公平を図る観点から発行が認められている制度であり、住民ニーズに応えるために公共施設などを整備する財源として、有効に活用すべきものであると考えておりますが、市債の借り入れに際しては、償還額とのバランスを考慮し、将来世代に過大な負担を残さないよう配慮してまいります。
次に、成田国際空港政策についてのご質問にお答えいたします。
まず、第3滑走路の整備、B滑走路の延伸、夜間飛行制限の緩和といった、それぞれの機能強化をどのようなスケジュール感で進めていくことが望まれているのかとのことでありますが、空港会社としましては、国の航空需要予測によると、2020年代の半ばには成田空港の処理容量を超える見込みであることから、それまでに第3滑走路の整備やB滑走路の延伸が完了していることが望ましいとのことであります。
一方、夜間飛行制限の緩和につきましては、住民説明会において騒音地域にお住まいの皆様から、厳しいご意見をいただいているところであり、その必要性や効果とともに環境対策についての騒音地域にお住まいの方々のご理解をいただく必要があると考えているとのことであります。また、成田空港騒音対策地域連絡協議会から、空港容量30万回への拡大やカーフューの弾力的運用時の進め方は、結論ありき、合意期限ありきで進められたのではないかとの意見があり、今回のさらなる機能強化については、結論ありきの住民説明ではなく、計画あるいは案の段階で説明をし、意見を聞いてもらいたいとの要望がありました。
こうしたことから、本年1月に開催した成田空港圏自治体連絡協議会において、今後の対応については、現在も各市町において住民説明会を実施し、丁寧な説明を行うとともに、住民の意見や要望を伺い、双方向で意見を交わしながら合意形成を図っていく必要があること、また各市町の住民説明会の進捗状況を踏まえ、必要に応じ空港圏自治体連絡協議会として、関係機関への要望等の実施を検討していくことについて、意見が一致したところであります。
本市といたしましても、騒音地域にお住まいの方々と国、県、市、空港会社が、双方向で意見を交わしながら、抜本的な移転対策や防音工事の充実などの環境対策、地域共生策を含めた成田空港のさらなる機能強化について合意形成を図ってまいりたいと考えておりますが、各市町においても合意形成が図られた段階で、四者協議会が開催され、最終確認するものと認識しております。
次に、成田空港の機能強化を地元としてどのように進展させていくのかについてでありますが、これから本格的な少子高齢化社会を迎える我が国では、経済発展の著しいアジア諸国の成長を取り込むことが、日本経済の再生とさらなる成長のため必要不可欠であるとして、観光を基幹産業へと成長させるべく、受け入れ環境の整備を積極的に推進しており、成田空港においては、我が国の表玄関として今後さらに増加していく訪日外国人のニーズに応え、効率的な空港運用や一層の利便性向上を図るため、さらなる機能強化が強く求められております。
このような中、本年1月に公表されました成田空港の2016年暦年の運用状況では、航空機の発着回数が国際線、国内線ともに開港以来最高値を更新し、航空旅客数においても最高値を更新するとともに、暦年として初めて国際線の外国人旅客数が日本人旅客数を上回りました。成田空港のさらなる機能強化は、こうした首都圏やアジアの旺盛な航空需要に応え、人や物の流れがさらに活発になることによる新たな企業進出や地域の活性化、雇用の場の拡大などといった地域経済のますますの発展が期待されることから、本市にとって機能強化に向けた取り組みは、最大の地方創生であると考えております。
また、あわせて国際空港都市づくりについても、積極的に取り組むべき課題であると考えているところであり、千葉県が事務局となり、本市を含めた関係9市町等で構成される地域振興連絡協議会では、本年度より空港のさらなる機能強化の検討にあわせた空港周辺の地域づくりに活用するため、公共交通のあり方に係る調査を進めており、来年度以降には学識経験者等による検討会議を設置し、さらに地域振興に向けた検討を深めていくこととなっております。このほか、千葉県では、来年度から成田空港のさらなる機能強化の検討にあわせて、空港周辺地域の社会基盤整備や広域的な地域づくりに重点的に取り組むため、空港地域振興課内に空港地域整備・広域活性化班を新設するなど、体制を強化するとのことでありますので、本市といたしましても、千葉県を初め関係市町と連携を図りながら国際都市にふさわしいまちづくりの検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、集落分断の解消についてでありますが、これまで成田空港では、暫定平行滑走路の運用開始やB滑走路の2,500メートル化、年間空港容量30万回化などに当たり、騒音対策区域の見直しが行われてまいりましたが、その際の線引きによって、住民移転による集落分断や騒音対策への格差が生まれ、騒音地域にお住まいの皆様に大変なご苦労、ご心配をおかけしております。
こうした中、昨年9月に開催されました四者協議会において、成田空港の更なる機能強化の検討を進めるに当たっての確認書が交わされ、その中で50万回時の予測騒音コンターに基づき、国は騒防法の第一種区域等の、県は騒特法の航空機騒音障害防止地区及び防止特別地区の見直し作業に着手することとなっており、今回の確認書においては、区域設定に当たっては、当該市町の意向を最大限尊重し、誠意を持って既存集落に可能な限り配慮することが四者において確認されております。本市といたしましては、今後、国、県の示した考え方をもとに、地域の方々のご意見、ご要望を伺いながら、分断の解消が図られるよう関係機関に強く働きかけてまいります。
次に、夜間飛行制限の緩和についての住民の視点に立った騒音対策や落下物の危険にさらされない根本的な解決を図るための移転について、成田独自の対策を講じることも含め市の見解はとのことでありますが、昨年9月に開催された四者協議会において、空港会社からは成田空港のさらなる機能強化に当たっての環境対策・地域共生策の基本的な考え方について説明があり、地域の課題に対する対応の方向性として、落下物対策や防音工事の施工内容の充実、集落分断の解消、深夜早朝対策としての内窓設置が示され、現在、住民説明会を開催し、地域の皆様のご意見、ご要望を伺っているところであります。
本市といたしましては、騒音地域にお住まいの方々と国、県、市、空港会社が、双方向で意見を交わしながら、抜本的な移転対策や防音工事の充実など、地域に寄り添った対策が示されますよう、国、県及び空港会社に働きかけてまいります。
次に、空港周辺道路網の整備や都心直結線構想について、新年度どのように取り組むのかとのことでありますが、その実現は、成田空港の国際競争力強化と成田空港利用者の利便性向上につながるものであり、今後の本市の発展に大きく寄与するものと考えております。空港周辺道路網の骨格となる圏央道につきましては、先月26日の境古河インターチェンジからつくば中央インターチェンジまでの開通により、主要な高速道路が全て接続され、大幅に利便性が向上しました。県内で唯一未整備の大栄・横芝間につきましても、現在、用地の取得中であり、約50%の取得状況と伺っております。また、国道295号に接続予定の北千葉道路につきましても、先月19日に印西市若萩地先から本市北須賀地先までが開通したところであり、押畑地先の国道408号との接続までは平成30年度の供用開始を目指しております。これらの広域幹線道路の整備促進につきましては、本市も参加する建設促進協議会や期成同盟により、早期完成に向けた要望活動を行っており、今後も積極的に取り組んでまいります。
なお、都心直結線構想につきましては、新線建設に巨額の建設費用を要することに加え、事業の採算性が不透明であること、事業主体や事業スキームの検討など多くの課題があると認識しております。現在、国において事業化に向けた検討が進められているところでありますので、早期に実現が図られるよう粘り強く働きかけてまいります。
次に、国際医療学園都市構想の実現についてのご質問にお答えいたします。
まず、地域医療への協力体制をどのように構築しようとしているのかとのことでありますが、国際医療福祉大学は医師の育成並びに附属病院の設置により地域医療へ貢献するという考えを示しております。医師の育成による地域医療への貢献といたしましては、総合的な高い診療能力を身につけた医療人材を育成し、その相当数が千葉県内に残ることで、地域医療の充実に貢献できるとの考えから、医学部のカリキュラムに総合臨床医学を組み込み、その中で地域医療学を履修させることとしております。臨床実習においても、大学の関連病院のほか、千葉県内の医療機関や大学関連の介護施設、福祉施設でも実習を行うことを計画しており、地域医療への動機づけとなる経験を積ませるとのことであります。附属病院の設置による地域医療への貢献といたしましては、市内畑ケ田地先に設置する附属病院には39の診療科を設置し、あらゆる疾病に対応するとともに、感染症、周産期医療、救急医療、災害医療等において、地域の医療機関と連携することにより、地域医療の充実に努めていくこととしております。
また、これまで3度行われている国際医療福祉大学と印旛市郡医師会との意見交換会の場においても、大学の地域医療への貢献について話し合われております。具体的な連携内容は、附属病院の開設を待ってからとしながらも、これまでに病病連携・病診連携が重要であること、既存の医療機関と協力し、救急医療体制の充実に寄与すること、航空機事故等の災害の際に大学が既存の救急医療機関と連携を図っていく意向があること、今後も随時、意見交換会を継続していくことなどが確認されました。大学からも、印旛市郡医師会と共同で月1回程度のペースで市民を対象とした公開講座を開催してはどうかといった提案や、医学部教員の印旛市郡医師会への参加の意向などが示されております。
さらに、国際医療福祉大学からは、医学部の設置に当たり千葉県と本市からの要請に基づき、地域医療体制の充実に向けて協力していくとの回答を得ております。現在は、千葉県内の医師の地域偏在や診療科偏在の解消、医学部卒業者の県内への定着などについて、大学に具体的にどのような方法で協力していただけるか、協議を続けているところであります。
なお、医学部及び附属病院の開設に当たりましては、地域医療の充実だけでなく、医療産業の集積や人口の増加、雇用の拡大等、様々な効果が期待できますので、市といたしましても、附属病院用地周辺のインフラ整備などの必要な事業を進めてまいりたいと考えております。
次に、大学医学部附属病院へのアクセス整備についてでありますが、大学キャンパスや主要駅と附属病院の連携を円滑に行うためには、県道も含めた幹線道路の機能強化が必要であると認識しております。附属病院の開院に向けては、地域の方々や大学関係者と協議を行い、当面、既存道路の交差点改良や歩道設置、狭隘部分の拡幅などにより対応してまいります。また、現在、病院側から示された予定交通量をもとに、周辺道路の交通量推計を行っているほか、附属病院の北側からだけでなく、南側からのアクセスも考慮し、県道八日市場佐倉線から附属病院への道路整備についても検討を進めているところであります。今後は、国際医療学園都市構想の実現のため、これらの検討結果や都市計画マスタープランの構想路線も踏まえた幹線道路網整備計画の見直しを検討してまいります。
次に、医療産業集積調査の結果と、今後どのように医療産業の集積を図るのかとのことでありますが、医療産業の集積につきましては、現在は医療機器産業の集積を中心に取り組みを続けており、有識者会議という形で業界との対話を行っているところではありますが、企業の具体的な進出意向までは確認できていない状況であります。国際医療福祉大学医学部の開設が間近となり、業界の本市に対する注目度も上がってきていると考えておりますので、今後も業界との対話を続け、本市への進出に関心を示す企業があらわれましたら、その意向も踏まえ、具体的な検討を行ってまいりたいと考えております。なお、都市計画マスタープランでは、公津の杜駅周辺及び畑ケ田地区周辺を学術・医療集積拠点として位置づけ、医学部や附属病院を初め、成田空港を活用した医療関連産業の集積による国際的な医療・業務機能の形成を推進することを土地利用の方針としております。
次に、観光行政についてのご質問にお答えいたします。
まず、IR誘致における市の見解についてでありますが、IRは高い税収効果や雇用効果などが期待できますが、その一方でカジノに起因する不適切な団体の介入、犯罪の増加、ギャンブル依存症や青少年の健全育成への悪影響といったマイナスの面が懸念されるところであります。また、他国の事例では、風紀の乱れなどから人口が大幅に減少している都市もあり、国において法案審議の過程で十分な議論がなされることが求められるところであります。昨年12月に特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律、いわゆるIR整備推進法が成立しましたが、具体的な制度設計は決定しておらず、これから策定されるIR実施法案の中で審議されるものであると聞いております。IRの誘致につきましては、今後の実施法案及び関連法案による具体的な制度設計やカジノに起因するマイナス面への対応策などを注視しながら、市民の皆様の考えを十分に伺った上で慎重に判断してまいりたいと考えております。
なお、IRの誘致可能性調査を行う考えがあるかとのことでありますが、IRの誘致につきましては、千葉県で行ったIR導入調査の情報提供を受けており、現時点で必要な情報は入手していると考えております。
次に、MICE施設の必要性と課題についてでありますが、展示場などの施設につきましては、空港との親和性も高く、展示会の開催により国内外から多くの人々の集客が見込まれるとともに、空港を利用する外国人の増加が期待でき、大きな経済波及効果を狙うことができるものと考えております。また、本年4月には医学部が開学し、さらにはその附属病院が開設されますと、本市における国際的な学会の開催可能性が向上するなど、その受け皿となる会議場等の施設につきましても、そのニーズが高まってくるものと考えております。
MICE施設の課題につきましては、本市では平成26年度に国土交通省の補助を受けまして、エアポートシティ形成に係る大規模MICE施設等事業化検討調査を実施し、PPPあるいはPFI方式の活用を前提としたMICE施設の検討を行いました。MICE施設は、集客力が高い一方で公益性も高い施設であることから、事業採算性の観点からは他の収益性の高い事業と組み合わせて検討する必要があります。本調査におきましても、ホテルやショッピングモールなどの収益施設による利益の一部を還元し、MICE施設の整備、運営費用に充当するスキームを前提として検討を行いました。その結果、市の財政負担軽減のためには、収益施設の利益をより高めるための取り組みを検討する必要があることがわかりました。諸外国では、MICE施設にカジノが併設されるケースは多いと思いますが、カジノ以外の部門からも多くの売り上げを計上しているデータも見受けられることから、本市といたしましても研究してまいります。
次に、インバウンド及び国内向け観光誘致政策、並びに市内消費拡大の取り組みについてでありますが、本市では成田空港成長戦略会議最終取りまとめに基づき、平成25年度に成田ブランド推進戦略事業アクションプランを策定しております。このプランでは、ラストナイトイン成田・日本最後の思い出づくりをコンセプトに、訪日外国人の来成促進と首都圏、圏央道利用者、国内線就航先の20代から40代の方をターゲットとした運気上昇のまち成田をコンセプトとした取り組みを行ってまいりました。
その具体的な内容といたしましては、官民一体となったミッション団によるアメリカ・ロサンゼルスやタイ・バンコク、台湾・桃園市のランタンフェスティバルでの観光プロモーション、海外旅行会社やメディアを対象とした視察ツアー、海外ドラマのロケ誘致や海外情報誌での情報発信などの施策を展開してまいりました。また、国内向けには、LCC就航先でのプロモーションやツーリズムエキスポへの出展などを通じた成田のシティセールスの強化を初め、成田伝統芸能まつりや成田市御案内人市川海老蔵プロジェクトを活用した観光客誘致のほか、本年度からはふるさと納税制度を活用した市の特産品のPRなども行ってきたところであります。
このような観光施策を実施したことによる成果といたしまして、昨年の市内外国人宿泊者数は、前年比12万人増の約175万人となったほか、市内観光入込客数も前年比9万人増の約1,479万人を記録するなど、一定の成果があったと考えております。また、こうした継続的な情報発信の成果として、1月にはNHKの「ブラタモリ」と「鶴瓶の家族に乾杯」新春スペシャルやテレビ朝日の高田純次の「じゅん散歩」が、2月にはNHKBSの「新日本風土記」を初め、1月から2月にかけて多くの番組に成田山新勝寺や成田山表参道が取り上げられ、正月三が日の参詣客は前年比2万人増の約311万人となっております。
しかしながら、旅行形態の多様化や地域間競争の激化など、急激に変化する観光情勢に対応するため、既存の観光資源をさらに磨き上げるとともに、新たな観光資源の発掘やターゲットに合わせた効果的、かつ戦略的な情報発信が必要であると認識しております。
今後におきましては、平成30年の成田山開基1080年祭に向け、地域と一体となったPR活動や記念事業を実施するほか、成田空港を核とした点から面への広域観光の視点に立ち、日本遺産を活用したテーマ性・ストーリー性を持った魅力ある観光地づくりを推進してまいります。さらに、国や県、周辺市町との連携を図りながら、成田トランジットプログラムの対象をトランジットの旅客以外の外国人宿泊者にも拡大するなど、滞在時間の延長及び市内宿泊者数の増加による域内消費の拡大に努めてまいります。また、2019年ラグビーワールドカップ、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、外国人観光客のさらなる増加が見込まれることから、多言語観光・災害情報配信システムの運用により、外国人旅行者が安心して快適に移動、滞在、観光することができる環境の整備に努めてまいります。
次に、成田市観光振興基本計画についてでありますが、本市では平成29年度から平成33年度までの5カ年を計画期間として、本市の観光振興の基本的な考え方とその方向性を定めた成田市観光振興基本計画の策定を進めております。本計画は、国の日本再興戦略や千葉県が策定した観光立県ちば推進基本計画との連携を図るとともに、昨年3月に策定した成田市総合計画NARITAみらいプランと整合を図り推進するものであります。
計画策定に当たっては、多様化するニーズを把握するために日本人観光客や外国人宿泊者を対象としたアンケート調査に加え、市内に在住、在勤、在学する方を対象とした市政モニターアンケート調査等も実施したところでありますので、これらの結果も踏まえ、具体的な数値目標を設定し、効果的かつ戦略的な計画を策定してまいります。
次に、成田駅周辺の渋滞問題についてでありますが、駅周辺のそれぞれの一般車乗降場につきましては、利用できる台数は他市の主要駅前広場と比較しても少なくはないものの、通勤通学時間帯に混雑することは認識しております。一般車乗降場の利用につきましては、乗車待ちの一時待機をするためではなく、速やかに乗降するための施設であることから、長時間の停車はご遠慮いただくよう注意喚起の看板を設置するなど、適正な利用方法について皆様に呼びかけを行っております。
次に、防災・減災対策についてのご質問にお答えいたします。
まず、木造建物密集地域への防火帯の整備の必要性と減災対策についてでありますが、新潟県糸魚川市の大火は、冬に日本海側で起こるフェーン現象、木造建物が連なる町並み、入り組んだ細い路地など、様々な条件が重なって被害が拡大したものであります。本市の仲町地区におきましても、木造建物が傾斜地に建ち並び、建蔽率が高い住宅密集地であることから、延焼の危険性が高い地区として想定しております。このようなことから、本市では木造建物や飲食店が集中し、震災等による大きな被害の生ずるおそれのある地域においては、都市計画法の防火地域、準防火地域の指定を行い、耐火建築物、準耐火建築物等の建築を促進しております。しかしながら、町並みの再生には時間を要することから、木造建物密集地域の防御計画を作成し、消防水利の強化を図るとともに、飲食店などの店舗も多く点在しておりますので、定期的に立ち入り検査を実施し、消防用設備などの適切な維持管理に努めていただいております。
次に、地域防災力・組織力の強化についてでありますが、シェイクアウト訓練につきましては、地震の際の安全確保行動1-2-3、まず低く、頭を守り、動かないを身につける訓練であり、市内全域の市民が参加することで、地域、学校、職場などの組織が、防災対策の見直しや防災用品の確認、けがを防ぐための身の回りの安全対策をとることを促すことも目的としているものであり、本市では来年度にシェイクアウト訓練の実施を予定しております。
次に、避難所運営委員会の組織立ち上げと取り組みについてでありますが、本市では災害時に指定避難所を利用する地域住民が主体的に避難所の開設及び運営を円滑に行うことができるよう、避難を予定する区、自治会等と学校等の施設管理者及び市から派遣される避難所担当職員で構成される避難所運営委員会の設立を進めており、本年1月に吾妻小学校と吾妻中学校において、初めて避難所運営委員会が設立されました。現在、両委員会において地域版マニュアルの作成に取り組んでいるところであります。今後におきましても、避難所運営委員会の設立を各指定避難所に広め、自助、共助、公助のさらなる連携を図ってまいります。
なお、教育行政に関するご質問につきましては、教育長よりご答弁申し上げます。
○議長:関川教育長。
◎教育長:私からは、教育行政についてのご質問にお答えいたします。
まず、次期学習指導要領において、3年生から始まる外国語活動と本市が行っている英語教育の連携をどのように図っていくのかとのことでありますが、先月14日に文部科学省から出された次期学習指導要領の改定案では、3年生から始まる外国語活動の目標や内容は、現在本市が行っている英語科の目標や内容にほぼ合致しておりますが、実際の指導の場面では、今後、作成される教科書や教材がどのような内容になるかということについて、注視していく必要があると考えております。
本市はこれまで教育課程特例校として、小学校1年生から英語科の授業を実施し、市内全小学校に外国人英語講師を配置するとともに、6年間を見通した指導計画と1時間ごとの指導案を作成し、市内全小学校が同一歩調で英語教育に取り組んでまいりました。これまで培った英語教育のノウハウは、次期学習指導要領で示された内容を上回るものであることから、本市が行ってきた先進的な取り組みや内容を新しく始まる授業の中に盛り込み、引き続き英語によるコミュニケーション能力の育成を図ってまいります。
次に、新たに導入されるアクティブラーニングによって、期待される効果と移行に向けた研修体制、導入に係る課題についてでありますが、次期学習指導要領の改訂においては、授業改善の視点から主体的で対話的な深い学び、いわゆるアクティブラーニングが重要なキーワードとなっております。主体的で対話的な深い学びとは、一方的な講義形式の教育とは異なり、課題に対して児童生徒がそれぞれの興味や関心をもとに、一人ひとりの個性に応じた質の高い学びを引き出す学習法であります。ここでは、見通しを持って粘り強く主体的に取り組んだり、子供同士や教職員、地域の人などとの対話を通して自己の考えを広げていくことができます。そして、各教科などで身につけた考え方を活用して、新たな課題を発見するなど、深く学ぶ児童生徒の姿が期待されます。
なお、これまでの問題解決型学習においても、グループ活動などの学習形態を実践しており、主体的で対話的に学ぶ児童生徒の育成に取り組んでいるところであります。
また、本県では、既に主体的で対話的な深い学びの視点を持った県独自の思考し、表現する力を高める実践モデルプログラムを実践しております。このプログラムは、見出す、調べる、深める、まとめあげるの4つの学習プロセスから構成されており、児童生徒は学習課題に対して、話し合い活動などを通じて自分なりの仮説を立て、それぞれの方法で調べ、お互いに調べたことを伝え合い、課題を解決していく学習です。本年度は市内の中学校を会場に、本プログラムを活用した授業が公開され、多くの教職員が研修を通じて学びを深め、各校において授業改善を図っております。今後は、これまでの学習方法をより充実させるとともに、主体的な学びを実現するための教材研究や児童生徒の発達段階などに応じた学習方法、学習形態を研究し、対話的な学びを実践していくことが課題となります。
教育委員会といたしましては、主催する研修会や学校を訪問して行う研修会などを通じて、主体的で対話的な深い学びを実現できるよう、実践的な研修を重ねることで、授業改善が図られるよう指導、助言してまいります。
次に、校務支援システムの導入によるメリットと移行時の課題についてでありますが、来年度導入する校務支援システムは、通知表及び指導要録等の作成や、児童生徒の出欠席管理、保健データの管理などを1つのシステムでまとめて行うことができる統合型のシステムとなります。このシステムの導入によって、1つの帳票にデータを入力すれば、他の帳票にも反映されることから転記ミスを防ぐことができるとともに、教職員の事務の効率化を図ることができます。また、必要な情報を共有し、児童生徒の指導・支援に役立てることもでき、教職員の多忙化解消と児童生徒と向き合う時間や授業準備の時間の確保などの課題を同時に改善するための方策の一つとして効果が期待できるものです。
しかし、移行時の課題としては教職員の負担感があります。そのため、来年度については導入の初年度であることから、現状の管理と新システムによる管理との並行稼働期間を設け、その間に集合研修や全学校を巡回しながらの研修、さらには電話による照会ができるヘルプデスクを設置するなど、システムの操作に十分なれるような体制を整え、移行時の負担感の軽減を図りたいと考えております。なお、ヘルプデスクにつきましては、教職員をサポートするため、導入時だけでなく2年目以降も設置し、円滑に運用できるようにしてまいります。
次に、教職員の多忙化の現状とその解消に向けた手だてについてでありますが、まず教職員の多忙化の原因として、変化の激しい社会の中で、たくましく生き抜く児童生徒を育成するために、学校や教職員に求められる役割が増大していることが挙げられます。新たな教育課題への対応はもちろんのこと、いじめ、不登校等の問題行動の発生、あるいは特別な支援を必要とする児童生徒の増加、また保護者対応の難しさなど、学校を取り巻く環境が複雑化、困難化している状況があります。
こうした中、教育委員会では、限られた時間の中で充実した研修を行い教職員の力量を高めることや、指導者用デジタル教科書を導入して子供たちの興味関心を高め、学力の向上を図りながら、同時に授業準備に係る時間の効率化を図ること、さらに学校・家庭・地域が一体となって子供を育てる学校支援地域本部事業の推進により、教育活動のより一層の充実と学校の負担軽減を図ることなどに努めてまいりました。また、生徒指導や保護者対応による問題が発生した際には、指導主事やスクールソーシャルワーカーを派遣し、問題の早期解決に向けた支援を行っており、特に困難な課題に対しては、学校問題解決支援チームによる専門的な助言や直接的な支援を受けることができる仕組みも整えてまいりました。
しかしながら、昨年11月の1カ月間、市内小中学校の教職員を対象に行った勤務時間に関する調査では、授業がある日の1日当たりの時間外勤務の状況は、平均3時間5分という結果でした。学校現場における多忙化解消は困難な課題であると感じております。来年度に行う校務支援システムの導入は、多忙化の解消に一定の効果が期待できるものと考えております。また、明るい職場環境のもと、子供たちへの指導を通して教職員が成就感や達成感を得ることができれば、多忙感の解消につながるものと考えております。
教育委員会といたしましては、今後も教職員の多忙化解消に努め、児童生徒と学校職員にとって、よりよい教育環境の整備を行ってまいります。
○議長:雨宮議員。
◆雨宮 真吾:答弁スピードまで調整をいただきまして、市長、また教育長、ありがとうございました。
市政全般について質問させていただきました。成田市の持続的な発展には、次代を担う世代がみずから行動することで自己実現できる環境の整備が必要であると考えております。我々政友クラブにおいても、命を守る防災・減災、福祉、教育分野はもちろん、医療学園都市構想を初め成田空港の機能強化、インバウンド強化といった成長分野にも力を注ぎ、成田の未来を照らす政策実現に向けて、多方面の意見を参考にしながら積極的な議論を行っていくことを約束し、政友クラブを代表した私の質問を終わりにさせていただきます。
ありがとうございました。