具体的な5つの取り組み方針
04. 制度の改善や規制緩和で企業から「選ばれるまち成田」
成田市の都市開発は停滞した状態が続いています。進出を望む企業に提供する工業団地的な土地の在庫がありません。印西市や白井市は10年後を見据えた企業誘致を展開し、グッドマンやグーグルなどの大型企業が続々と進出しています。
雨宮しんごは、土地利用制度の改善に果断に取り組み、雇用や税収を生み出す経済産業施策に注力します。企業展開に最適な大栄・下総・豊住地区への誘致と並行して、国家戦略特区による国際物流拠点の集積を推進します。また、圏央道や北千葉道路、それにスマートIC、鉄道アクセスの向上など、成田空港を核とした「稼ぐことができる、健全で持続可能な自治体」へと押し上げます。
①成田の国際空港からアジアの成田国際空港に!
成田国際空港開港の年に生まれたわたしは、空港政策をライフワークに議会活動に邁進してきました。
アジア主要空港においては新設滑走路の整備など、大規模な空港機能拡張が進展しており、日本を取り巻く国際空港間の路線獲得競争は一段と激しさを増しています。
こうした中、このほど発着回数30万回から50万回へのさらなる機能強化が決まり、第三滑走路の整備やB滑走路1000m延伸など、完成すれば空港敷地2300haという世界に比肩する日本最大の国際空港へと生まれ変わります(2028年度)。
また、2022年9月には、現在3つの旅客ターミナルを、将来的にひとつのターミナルに集約する「新しい成田空港」構想への着手が発表されました。
機能強化の整備促進による競争力確保とともに、2030年に外国人旅行客を年間6000万人とする政府目標の必達に向けて各所との連携強化を図ります。
こうした機能強化の推進は、ひとえに騒音地域の住民の皆さんのご理解とご協力によって成し遂げられるものです。引き続き、騒音地域住民の皆さんの安心・安全を守ることはもちろん、共生と共栄に向けた住民視点の対策や枠組みを検討し、更なる対策を実行していきます。また、構想中のターミナル集約についても、成田市民にとってもメリットのあるものとなるよう(固定資産税等の税収など)、国や空港との連携を進めていきます。
※B滑走路の延伸及びC滑走路の整備については、東関東自動車道及び圏央道を含む道路等に多大な影響を与えるため、今後関係者と協議・検討していくことが必要です。
※1,000haと大規模な敷地拡張となるため、展開候補地については、今後関係者と協議・検討をしていくことが必要です。
②空港機能強化に先んじた企業立地の促進
2024年度には圏央道(大栄~松尾横芝)の完全開通とインターチェンジが設置され、2028年度には第三滑走路が供用されるなど成田空港進展の筋道が見えてきました。一方で、成田市には工業団地など企業立地提供在庫はゼロです。こうした中、印西市や白井市は北千葉道路を起点に10年後を見据えた物流施設の誘致を進めています。企業誘致から進出、施設増強、そして雇用創出など、成田市に寄与するには5年以上の期間を要し、空港機能強化に合わせた企業誘致は待ったなしです。
企業立地促進制度の大幅改善、規制緩和、土地利用や用途指定、トップセールスなど、30年後を見据えつつ、スピーディーに対応し、雇用や税収を生み出す積極的な経済産業施策を展開します。
【具体的な取り組み】
- 空港機能強化を見据えた専門部署を創設することで市をあげてまちづくりを推進
- 新設される大栄インターチェンジ周辺に市場調査手法を活用した開発を促進
- 調整区域での排水整備費用の補助など、企業立地促進制度の改善を推進
- 特区制度をフル活用し、農振解除や農地転用を迅速化
- 土地利用や用途指定の迅速な見直し騒音地区の適正管理・活用組織を新設
③国家戦略特区の取り組みと、未来への投資
空港機能強化が推進されるなか、国際医療福祉大学医学部と附属病院が開院し、加工から輸出までをワンストップで行える新生成田市場が開場しました。まさに、ここからがまちづくりのスタートです。
成田国際空港を核とした新たな産業基盤を構築するため、空港周辺に国家戦略特区として「国際医療学園都市構想」「エアポート都市構想」で提案している自由貿易地域を推進するなど、空港を核とした産業集積や物流拠点施設の誘致による雇用創出と、区画整理事業への支援による住環境整備を通じて、新たなまちづくりを進めていきます。
④空港周辺の交通ネットワーク強化
日本の国際空港から、アジアの成田国際空港として飛躍するためには、羽田と比較して相対的に劣る地理的条件の改善に向けて成田―東京間のアクセス向上が不可欠です。
鉄道については、成田国際空港までのJR線や京成線の単線区間の複線化の完成や都心直結構想の実現に向けて粘り強く交渉していきます。また、複線化や東金山をはじめとする周辺地域におけるまちづくり推進(農地転用等)にあわせて、近隣市の成功事例のノウハウを吸収・活用しつつ土屋駅の設置に向けて全力で取り組みます。
道路ネットワークについては、国・県との連携による圏央道、北千葉道路、そして県道成田小見川鹿島港線の4車線化を推進するなど、空港周辺交通ネットワークを強固にすることで空港機能をさらに高めていきます。
【具体的な取り組み】
- JR線や京成線の単線区間の複線化を働きかけ
- 鉄道の都心直結に向けた協議を推進
- 複線化と周辺地域開発の推進にあわせた土屋駅の設置検討
⑤活気あふれる農業を推進
6次産業化・法人化
生産・加工・販売を一体的に進めるフードバレー構想(6次産業化)を実践し、認定農業者の経営改善や法人化による企業的経営を促進させる他、企業の農業参入機会の創出など、国・県の施策と連携することで競争力ある強い農業への積極的な取り組みを実施します。
物流機能強化・新たな農業従事者支援
また、輸出拠点機能を有する新市場を活用した日本の食の物流拠点化を加速させ、国・県と連携し新たに農業に従事する人への支援制度を設けるなど、若い世代を中心に農業をはじめる人を増やし定着させるための対策を進めます。そして、価値が高く、もうかる農業づくりを推進することで、若い人たちにも魅力のある農業へと発展させていきます。
遊休農地の有効活用
成田市内には広大な農地が存在しますが、耕作放棄地、特に再生可能な荒廃農地の面積は千葉県内で1位となってしまっており、2位の自治体の実に1.5倍と早急な対策が必要です。また、過去5年間を見ても800haを超える再生可能な荒廃農地が放置されている状況であり、毎年の再生利用率はわずか5〜6%程度に留まっています。
そこで、これまであった人・農地プランをより実行性の高い地域計画とすることで再生利用面積の拡大を図ります。そのために、市長が代表を務め、県の農地中間管理機構との橋渡し役である成田市農業センター(成田市出資2億円以上)の認知度の向上と業務の迅速化を図ることで、地元農家が利用しやすい体制を確保し、遊休農地の有効活用に取り組みます。また、人・農地プランの策定を通じて、失われつつある地域の方々のつながりが生まれるよう、市として積極的な支援を実施します。更に、農業委員会が行なっている耕作放棄地解消事業に加えて、企業提案方式での借受企業の公募を検討し、農地集積や農業基盤の整備を推進します。
⑥環境対策と経済対策の両立による新しい都市ナリタへ
世界でSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)が叫ばれ、成田市も「ゼロカーボンシティ」を目指す中で、環境へ配慮した都市づくりに、積極的に取り組む必要があります。
一方、これまで環境対策は、経済の発展を制約するものと考えられていました。しかし、科学技術の進展などにより、環境対策と経済対策は相反するものではなく、両立させることが可能になりつつあります。
コロナ後の時代に向けて、環境にも経済にもやさしい、新たな経済政策への転換を目指します。
【具体的な取り組み】
- 再可能エネルギーを活用するため、既存の公共施設に太陽光発電やLED照明を積極的に導入します。
- 住宅用省エネルギー設備導入に関し、現市政では不十分な設置費用の助成額を拡充します。
- 既存の公共施設の省エネルギー化を、運営と設備の両面から、より積極的に進めます。
- 省エネルギー化を図る施設(ZEB、Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)。正味で消費するエネルギーをゼロに)への転換を目指します。
- ごみ処理施設などの廃棄物処理施設の効率的・効果的な整備や運営のために、積極的にPPP /PFI方式(官民連携)を導入します。
⑦成田山新勝寺をはじめとする資源を活かした観光都市づくり
新型コロナウイルスは、成田市の観光産業にも大きな影響を与えました。また、ここ10年程の間に、成田山表参道のテナント化が進むなど、新型コロナウイルス発生前から、徐々ににぎわいが失われていました。観光需要が少しずつ回復しつつある今こそ、新たな観光都市づくりを進めることが重要です。世界に通用する観光のハブとして、「成田山新勝寺」や成田山表参道、宗吾霊堂などの地域資源を効果的に結び付け、「食」の魅力づくりを推進することで、観光客の市内滞在を促していきます。
【具体的な取り組み】
- 食と地域資源の連携による新しい観光価値創出に向け民間提案の実現を支援
- ハラール(イスラム教徒が食べられるもの)対応など、成長が期待できるアジア市場を意識したインバウンド施策、宿泊施設整備、周辺環境に配慮した民泊などを推進
- 成田市内に閉じず、観光客目線による近隣自治体と連携した観光ルートの発掘を推進
- 成田山表参道の交通規制を実施し、観光客へのおもてなしを強化
- 事業者や諸団体など全市一丸となった観光施策に向け、観光DMO(観光地域づくり)組織の設立検討
- 成田の特産品をはじめ観光資源を国内外に売り込むため、成田ブランドの確立と発信を強化
- 市民主導によるお祭りやイベント開催への補助を拡充
- 市内商店街に設置されるLED街灯への補助を拡充