活動日誌

会派政友クラブ韓国視察 ~二日目~ ICTの進展で直接民主制の幕開け!?市民参加予算制度が意思決定プロセスを変える!

視察

みなさんこんにちは、成田市議会議員の雨宮しんごです。

会派政友クラブの韓国視察二日目の今日は、ソウル市に来ています。

 

左の建物が昔のソウル市庁舎(現在図書館)、現在は右側の近代的な建物が庁舎となっています。

 

韓国の首都であるソウル市の人口は約1000万人。韓国の人口のおよそ五分の一が集中している大都市なのですが、ここソウル市において、公共サービスに対する市民ニーズを、行政に直接反映することができる「市民参加予算制度」を導入していることから、視察させていただきました。

 

(これほどの大都市にもかかわらず、快く、むしろ視察を歓迎をいただきました。担当職員の皆さんには改めてここに感謝いたします。)

 

 

 

●市民参加予算制度の視察

すでに韓国全域へと広がり、韓国の全自治体における行政サービスとなった「市民参加予算制度」。

 

公共サービスに対する市民ニーズを行政に直接反映することができるということで、制度導入がなされてからというもの、一度は話を伺いたいと思っていただけに、韓国に行くなら是非!と組み込ませていただきました!(笑)

 

2012年から始まったこの制度は、ソウル市では、その額はすでに年間70億円にまで拡大されていて、市民から受け付けた政策提案を議論し、会議を重ね、最終的には市民による電子投票によって予算編成され、議会に上程されています。

 

説明によると、実績状況は2018年で3288件が提案され、公益性や公共性などから選定された730件の実績があり、最終的には706件、およそ57億円が予算編成されたということです。

 

 

制度もさることながら、情報公開の姿勢、在り方にも注目すべきだったりします。

市民からの政策提案や議論の進捗状況はもちろん、投票結果だけでなく、途中の投票数も公開されているなど徹底されていました。

 

ソウル市の年間予算は、およそ27兆円(2018年)。

義務的経費などを除いた「投資的経費」(新規事業に費やすことができる経費)は年間およそ1700億ウォンになるようですが、その貴重な財源の4割相当額を「市民参加予算制度」に充てているというから驚きです。

 

さらに、「投票」はインターネットで行い、投票における年齢制限・国籍も関係なし。

現実的には、子どもはわからないので、間口は広げてあるものの投票者は学生と大人が中心とのことでしたが、『ソウル市民であれば誰でも投票できる』とあって、毎年10万人以上が投票しているようです。

 

こうした、予算編成に市民が参加できる似たような政策は日本にもあり、たとえば市川市などの一部の自治体では、『住民税の1%を市民の規模する予算に反映できる制度』を導入しています。

ただ、予算が27兆円あるとはいえ70億円(総予算の2%)もの規模というのは、さすがに驚くばかりです。

 

★議会との距離感、直接民主制への風。

韓国も日本と同じ議会制民主主義がとられているのですが、「市民参加予算制度」によって決められた予算であっても、「市民」によって選ばれた「議員」が構成する「議会」に上程されることになります。

 

それでは、果たして「この制度によって編成された予算は可決されるのか?」というと・・・

やはり『否決されることもある』とのことでした。

 

具体的には、市民からの苦情が発生しやすいと判断された場合、似たような事業がすでにある場合などのようです。

 

一方で、過去に実現された事業としては、流動人口を考慮し、河川における橋を整備したり、公共施設へのWi-Fiの設置などで、最近は、PM2.5に関する提案事業が多いとのことでした。

 

 

上の写真をご覧ください。こちらは、市民参加予算制度による予算案策定までのプロセスとなっています。

 

これだけのプロセスを経て予算上程してくるわけです。

市民の皆さんから選ばれた「議員」の立場から率直に言わせてもらいますと、市民のみなさんが熟慮を重ねて編成された予算を『否決』するというのは、大変に苦しいです。(きっぱり!!)

 

もちろん、論理的整合性や政策効果を判断しますが、「できれば通してあげたい!」と思ってしまいます(それに市民が作った予算を反対したら、次の選挙が怖くなるかも!?)

 

韓国の議会議員は、この2%以外で力を発揮することが求められそうですね(笑)

 

ただ、今後さらに市民参加予算制度の規模が拡大すると、議会制民主主義の根幹が揺らぐことは言うまでもありません。

 

スマートシティが推進されるソウル市。

今回の制度設計は、『技術的には直接民主制も十分可能であるということを示した』と言えます。

韓国も日本も原則的には間接民主制を採用していますが、今後さらにICTが進展することにより、意思決定のプロセスに変化が出てくるかもしれません。

 

★予算の健全化にも資する。今後は・・・

投票にはスマートフォンやパソコンを使うことから、高齢者や子どもなどデジタルディバイドがないかについても確認しましたが、さすがはキャッシュレス化が90%まで浸透している韓国。

すでにソウル市民の9割以上がスマートフォンを使いこなしているため、こうした取り組みへの批判はないとのことでした。

 

そして、今回の制度導入により、思わぬところにも効果が波及しているということで、市民参加型の予算編成という住民自治を実現するだけではなく、予算の健全化も図られているのだとか。

 

この制度を始めてから、7兆ウォンもの債務を減らせたということです。

まさに、自治体の予算編成にもとめられている「選択と集中」が市民との協働によって実現されている好事例と言えます。

 

日本でも導入可能性を模索するべきではないかと感じた次第です。

 

それでは次の視察へ!

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千葉県議会議員

雨宮 しんご

Shingo Amamiya

  • 昭和53年(1978年) 10月31日生 血液型/B型(さそり座)
  • はくと幼稚園・成田市立吾妻小学校
  • 吾妻中学校・平成3年「少年の翼に入団」中国国際交流
  • 千葉県立富里高等学校
  • ニュージーランドPapakura High Schoolへ1年間留学
  • 高千穂商科大学・明治大学公共政策大学院(修士)
  • 成田市議会議員 4期
  • 第41代 成田市議会議長
  • 第17代 関東若手市議会議員の会 会長
  • 第33代 成田商工会議所青年部 会長
  • 成田青年会議所OB
  • 千葉県中小企業家同友会東総支部
  • 千葉県富里高等学校同窓会 会長
  • 中学校PTA会長
  • 日本サーフィン連盟公認インストラクター
  • 海上安全指導員
  • ※歴任を含む

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