活動日誌

「まんじゅうや」で市長が変わった。選挙制度の構造的欠陥に向き合うべき。

みなさんこんにちは、千葉県議会議員の雨宮しんごです。

茨城県神栖市で、前代未聞の出来事が起きました。

 

2025年11月9日の市長選挙で、現職の石田進氏と新人の木内敏之氏の得票がともに16,724票と同数に。

公職選挙法の規定に基づきくじ引きで当選者を決定し、木内氏が市長に就任しました。

その後、石田氏の異議申し立てを受けた茨城県選管が2026年4月28日に裁決。

木内氏の実家が菓子製造会社であることから有効票とされていた「まんじゅうや」「だんごや」と書かれた2票が無効と判断され、1票差で逆転。

 

木内氏の当選が無効となりました。

木内氏は「神栖で私をまんじゅう屋と呼ばない者はいない」と反論し、東京高裁に提訴。争いはまだ続いています。

 

この出来事を、単なる珍事として看過することはできません。

個人的には、背景に選挙制度の構造的な問題が三つ重なっていると考えています。

 

①くじ引き規定―首長選挙への適用を再考すべき

同数の場合にくじ引きで決めるという公職選挙法の規定は、現行法上は唯一の選択肢です。

神栖市の選管も法律通りに対応しています。ですが、立ち止まって考えてみると、首長は予算編成、政策決定、人事などなど、市政のあらゆる権限が一人に集中する、地方自治の要です。

その人物を決める選挙の結末が、くじ引きでいいのでしょうか。

 

くじ引きは、「どちらでもよい」という前提に成り立つ手段です。

首長選において同数が示すのは、「どちらでもよい」ではなく、「民意が真っ二つに割れている」という事実であるはずです。そうであれば、解決策は「運に委ねる」ことではなく、「もう一度民意を問う」ことにあるのではないかと思います。

 

もちろん再選挙にはコストも時間もかかります。候補者の負担も相当なものです。

ですが、それは民主主義のコストとして受け入れるべきところで、首長選挙に限っては、くじ引きではなく再選挙を義務付けるべきではないかと考えます。

 

②通称認定の曖昧さ―判断のばらつきが生じうる制度

「まんじゅうや」が無効なら、では「あましん」と書かれた票はどう扱われるのでしょうか?

(あ、雨宮のことです💦)

地域で広く知られたニックネームで呼ばれる政治家は珍しくありません。

現行制度では「広く一般に定着しているか」という基準はあるものの、何をもって定着とするかは選管の裁量に委ねられていて、判断のばらつきが生じる構造になっています。

 

その裁量の差が、市長を変えるほどの影響を持つというのは、さすがに制度設計の問題といえます。判断基準を法律で明確化するか、疑義が生じた票については独立した審査の仕組みを整えることが必要ではないでしょうか。

 

③投票率44.22%―投票効力感をどう回復するか

今回の投票率は44.22%でした。76,130人の有権者のうち、半数以上が棄権したことになります。

低投票率の背景には様々な要因があります。

『政治への無関心』と片付けるのは簡単ですが、『自分が投票しても何も変わらない』という投票効力感の低下も一因としてあるのではないかと考えます。

ですが、今回の神栖市は2票が市長を変え、1票差が当選を無効にしたということになり、投票しなかった市民に突きつけられた現実が重すぎると言わざるを得ません。

 

投票率向上の処方箋としてオーストラリア型の罰金がともなう「義務投票制」が語られることがありますが、わたしは、投票率を上げる手段として参加しやすい環境整備を推進すべきという考えです。

投票所へのアクセス改善、そして選挙を「自分事」として捉えてもらうための政治教育などに力を入れるべきだと思います。

 

まとめ―制度が時代に追いついていない

以上の3つの問題は個別事案ではなく、いずれも「選挙制度が時代の現実に追いついていない」という一本の軸でつながっていると思っています。

私は成田市議会議員、県議会議員とおよそ20年、地方選挙と向き合ってきました。

実は私自身も、成田市議会の議長選においてくじ引きで決着がついた経験があります。その後味の悪さは、今も忘れられません。

 

だからこそ、他自治体の結果ではありますが、「制度をどう変えるべきか」という問いは持ち続けていきたいと思います。

政治活動や選挙運動についてもそうですが、現行制度の多くが時代の現実に追いついていない今、選挙制度含め、大きく見直す時期に来ていると考えます。

 

いずれにしても、神栖市の市民の皆さんが一日も早く安定した市政を取り戻されることを願うと共に、この出来事が制度改革の一石になることを期待してやみません。

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千葉県議会議員

雨宮 しんご

Shingo Amamiya

  • 昭和53年(1978年) 10月31日生 血液型/B型(さそり座)
  • はくと幼稚園・成田市立吾妻小学校
  • 吾妻中学校・平成3年「少年の翼に入団」中国国際交流
  • 千葉県立富里高等学校
  • ニュージーランドPapakura High Schoolへ1年間留学
  • 高千穂商科大学・明治大学公共政策大学院(修士)
  • 成田市議会議員 4期
  • 第41代 成田市議会議長
  • 第17代 関東若手市議会議員の会 会長
  • 第33代 成田商工会議所青年部 会長
  • 成田青年会議所OB
  • 成田ライオンズクラブ
  • 千葉県中小企業家同友会東総支部
  • 千葉県富里高等学校同窓会 会長
  • 中学校PTA会長
  • 日本サーフィン連盟公認インストラクター
  • 海上安全指導員
  • ※歴任を含む

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