日本最大の貿易港・成田空港の「今」と「これから」
みなさんこんにちは、千葉県議会議員の雨宮しんごです。
先日、東京税関が「成田空港2月貿易概況(速報)」、そして、東京税関成田航空貨物出張所が「2月成田空港貨物取扱量 」を発表しました。
今日はこれらの資料を読みながら、考えたことを書いていきたいと思います。
私と同じ年の成田空港は、ほぼ半世紀にわたって日本の空の玄関口として人・モノ・カネを運び続けてきました。「旅行の出発点」であり、「海外からの入り口」です。
ですが、成田空港にはもう一つの顔があります。
それは東京港も横浜港も名古屋港も上回る、日本最大の貿易港であるということです。
「今」・・・23ヵ月連続プラス成長という構造的需要増
令和8年2月、成田空港の輸出額は約1兆8,220億円(前年同月比15.3%増)、輸入額は約1兆8,253億円(同12.6%増)を記録しました。日本の輸出入総額の約17%を、この一つの空港が担っている計算になります。

特筆すべきは貨物量の継続的な伸びで、2月の国際航空貨物取扱量は146,998トンで、積込・取卸ともに23ヵ月連続で前年同月比プラスを記録し続けています。2年近く一度も「前年割れ」がないというのは、好況というよりも、構造的需要増があるのだと思います。
何が運ばれているのか
輸出の中心は、半導体等電子部品(IC)や半導体等製造装置、科学光学機器といった日本の「技術の塊」だ。機械類・輸送用機器が輸出全体の31.0%を占めています。
輸入は機械類・輸送用機器が過半数(51.2%)を占めていて、その中でもスマートフォン等の通信機(13.5%)、半導体等電子部品(11.5%)となっています。また、医薬品も15.2%となっています。
個人的には「まだiPhone12なんだよなぁ~」と思いつつ、皆さんが毎日使うスマートフォンも、病院で処方される薬も、実はその多くがここ成田を通って届いているということですね。
今月の統計でわたしが注目したのは原料別製品の輸入急増(前年比189.8%増)になります。内訳を見ると白金族の金属(プラチナ、パラジウム等)の輸入が前年比194%と大幅に増加しています。半導体製造や電気自動車向けとしての需要が背景だと思います。こうして日本の産業構造の変化が、成田の貨物にも如実に表れていることがわかります。
「アジア」が7割、そして、多様化も進む
貿易相手は、アジアが輸出額の約7割(69.3%) を占めています。中でもやはり中国(香港・マカオ含む)向けは輸出全体の33.0%に達していて、外交的な課題はありますがアジアの経済活動を直接取り込んでいます。
また、台湾向け輸出は前年比144.5%の大幅増、韓国向けも安定した伸びを見せています。
対照的に、北米向け輸出は前年比82.5%と前年割れとなってます。3/19に日米首脳会談が執り行われたので、好転を期待しますが、米国経済の動向や貿易政策の不透明感が影響している可能性もあります。(資料は2月なので)
「これから」・・・2029年春「第2の開港」とエアポートシティ
ですが、好調な「今」に甘んじている余裕はありません。
羽田空港の発着容量はすでに限界(約49万回)です。首都圏の航空需要をさらに取り込むには、成田空港の拡張が不可欠であり、現在「第二の開港プロジェクト」により発着容量を34万回から50万回へ拡大すべく、2029年春の供用開始を目標に整備が推進されています。
この拡張は、単に飛行機の便数が増えるという話だけではありません。2026年1月に始動した「SORATO NRT(ソラト ナリタ)エアポートシティ構想」が示すのは、空港を「モノの通過点」から「産業の集積地」として空港周辺地域を巻き込んだ壮大なビジョンになります。

今まさに千葉県がイニシアチブをとりながら国、空港会社、周辺9市町が協議会を構成し、動き出していて、産業集積の対象は、物流・航空宇宙・精密機器・健康医療・農業・観光の6分野としています。
現在は特に航空宇宙産業に力点をおいていて、航空機の整備・修理・オーバーホール(MRO)拠点の形成に向けて取り組んでいます。これは日本国内で空洞化が進んでいた航空機メンテナンス産業を国内に取り戻すという経済安全保障上の意味合いもある意義ある取り組みだと考えています。
また、空港周辺では、多古町にグッドマングループ、成田市にヒューリックが大型物流施設の開発を進めており、いずれも新滑走路の供用開始に合わせて稼働する計画となっています。
そして、インフラ面においても2026年度の圏央道全線開通により、成田と羽田を結ぶ新たな道路軸が完成します。また、成田空港へのアクセスを飛躍的に改善する北千葉道路についても、私自身も県議会で早期整備を求めてきた課題であり、早期実現を目指しています。
実は見逃せない「競争」の激化
成田空港が急いで変わろうとしている背景には、東アジアの強力なライバルの存在があります。
韓国の仁川空港は約5,500haの敷地に4本の滑走路を持ち、経済自由区域として空港周辺の一体開発が先行しています。
台湾の桃園空港も「エアロトロポリス構想」を掲げ、物流・グリーン産業の誘致を政府主導で推進しています。

シンガポールのチャンギ空港も大規模複合施設の開業でどんどん存在感を増しています。いずれも、国家プロジェクトとして、国の明確な成長戦略としての空港整備に全力で取り組んでいるということです。
世界の航空貨物需要は年率3.5%の成長が見込まれ、アジア・オセアニア地域での伸びは特に大きいとされています。この成長を取り込めるかどうかは、日本の産業競争力に直結する課題です。
成田空港の進化は、地域の未来になる
地元成田市選出の県議会議員として、私はこの問題を「空港の話」として切り離して考えたことがありません。50万回時代が実現するとき、空港周辺の産業集積が本格化するとき、そこで働く人たちが暮らす街として成田市がどうあるべきか。「空港と共に地域が発展させる」これは政治家として20年間、求めてきたことであり、その想いや願いがようやく結実しようと歩みが進められています。
今回は貿易統計の数字を読んでみましたが、現状は非常に好調であると感じました。
ですが、23ヵ月連続プラスに胡坐をかくのではなく、仁川・桃園・チャンギといったアジア国際空港との競争に勝ち抜き、「第2の開港」を真の意味で飛躍させられるかどうかは、空港だけでなく地域全体の覚悟にかかっていると考えています。
私が生まれた年に開いたこの空港が、次の50年に向けてどう変わるのか。変わっていけるのか。
それを見届けつつも、つくる側として関わり続けていくことを、引き続き、私のライフワークにしていきたいと思います。
千葉県議会議員
雨宮 しんご
Shingo Amamiya
- 昭和53年(1978年) 10月31日生 血液型/B型(さそり座)
- はくと幼稚園・成田市立吾妻小学校
- 吾妻中学校・平成3年「少年の翼に入団」中国国際交流
- 千葉県立富里高等学校
- ニュージーランドPapakura High Schoolへ1年間留学
- 高千穂商科大学・明治大学公共政策大学院(修士)
- 成田市議会議員 4期
- 第41代 成田市議会議長
- 第17代 関東若手市議会議員の会 会長
- 第33代 成田商工会議所青年部 会長
- 成田青年会議所OB
- 成田ライオンズクラブ
- 千葉県中小企業家同友会東総支部
- 千葉県富里高等学校同窓会 会長
- 中学校PTA会長
- 日本サーフィン連盟公認インストラクター
- 海上安全指導員
- ※歴任を含む