SNS時代到来を感じる参議院選挙を終えて。
みなさんこんにちは、千葉県議会議員の雨宮しんごです。
この参議院選挙を通じて強く感じたのは、もはや「候補者個人の戦い」ではなく、「党首同士の代理戦争」のような様相を呈しているということでした。
自民党は33議席と、結党以来の過去最低を更新。衆参両院ともに少数与党となるという、戦後初めての状況となりました。
この歴史的な結果を受け、この敗北こそが、私が選挙戦を通じて肌で感じていた「政治の構造変化」を如実に物語っていると思っています。
◆ 感情が先行する政治の時代
SNSや動画配信の進化によって、政策の詳細な議論よりも、演説や討論の切り抜きが一瞬で拡散され、「感情の共鳴」が有権者の判断を左右する場面が目立ちました。
「神谷さんが好きだから参政党」「玉木さんが信頼できるから国民民主」といったように、党首への個人的な支持が、候補者の地域活動や政策の積み重ねを瞬く間に凌駕していく構図です。
参政党の躍進は、まさにこの現象の象徴でした。しかしその成功は、決して偶然ではありません。彼らは2020年の結党以来、5年をかけて地方議員100人以上という堅実な地盤を築き、また今回の選挙ではSNS戦略が見事にはまりました。
注目すべきは、プラットフォームごとの明確な戦略の違いです。
X(旧Twitter):文字中心で、政党哲学の主張や批判・反論の場
TikTok・Instagram:ポジティブな感情共鳴を促すショート動画
YouTube:より深く知りたい人に向けた中長尺の動画コンテンツ
Facebook:今回あまり活用されていない印象でした
こうした媒体別の戦略的発信が、投票行動に大きな影響を与えたと感じています。
仄聞する限りでは、ネットワークビジネスやオンラインサロンの手法を政党運営に取り入れ、既存の支持者が新たな支持者を勧誘する仕組みも構築されています。これは既成政党にはない、極めて効果的な手法といえます。
◆ 対立と憎悪を政治エネルギーへ
一方で、明らかに対立を煽ることを目的とし、憎悪心を政治エネルギーに転化しようとする言説が支持を集めてしまう現実も目の当たりにしました。
複雑な政策課題を、単純な敵味方の構図に置き換え、感情を刺激する。そうした手法が、冷静な政策論争よりも有効に機能してしまう。一面でこれはSNS時代の民主主義の大きな課題です。
与党はこうした状況下であっても、「先鋭的で耳障りの良い言葉」よりも、「無難にも見える実現可能な政策」と「現実的な選択肢」を丁寧に示す責任がありました。仮に不利に働いたとしても…です。与党には「現実の政治の姿」を追求し続ける使命があります。
◆ 誰と戦っているのか、わからなくなる選挙
冒頭でも述べましたが、今回の選挙戦では「誰と戦っているのか分からない」と感じる場面がしばしばありました。候補者同士の政策論争ではなく、党首の発信力やキャラクター、SNSでの“バズり方”が選挙戦を左右していく。
地道な地域活動や実績よりも、「どの党首についていくか」で投票行動が決まっていく傾向は、これまでの選挙の在り方とは明らかに異なるものでした。
選挙は有権者と候補者が直接向き合い、信頼を交わす場でしたが、今回は、有権者は党首を通じて政党を選び、候補者は党首の影響力に依存して当選していく──そんな構造が際立ちました。
開票速報でのインタビューでも、「かわして答えず、最終的には党の方針に従います」と語る新人の姿が繰り返され、その現実に戸惑いを覚えました。同時に、この急激な構造変化とどう向き合うべきか、自問せざるを得ませんでした。
◆ 新しい政治環境への適応
自戒を込めて申し上げると、現職やこれから政治を志す方々は、「従来の手法だけで十分」という時代ではなくなったことを、真摯に認めなければならないと思います。
新興政党の今回の成果は、偶然でも突発的なものでもなく、地域活動の地道な積み上げと、時代に即した『新しい政治コミュニケーションの確立』が実を結んだ結果といえます。
有権者が実際にどこで情報を得ているのか。ショート動画やSNS、オンラインコミュニティなど、変わりゆくメディア環境と向き合い、どう発信していくかを本気で考えるべき時にきています。
◆ 感情と理性のはざまで
感情に訴える手法を理解しつつも、煽動に頼らず、建設的な政治をどう打ち立てていくか。そのバランスを見失わず、政治の現場で問い続けていきたいと思います。
そして、この変化の波に流されるのではなく、向き合い、乗りこなす力が今の政治家に求められているのだと感じます。政治に携わる一人として、その責任も自覚しつつ、日々の活動をしっかりと積み上げていきたいと思います。
千葉県議会議員
雨宮 しんご
Shingo Amamiya
- 昭和53年(1978年) 10月31日生 血液型/B型(さそり座)
- はくと幼稚園・成田市立吾妻小学校
- 吾妻中学校・平成3年「少年の翼に入団」中国国際交流
- 千葉県立富里高等学校
- ニュージーランドPapakura High Schoolへ1年間留学
- 高千穂商科大学・明治大学公共政策大学院(修士)
- 成田市議会議員 4期
- 第41代 成田市議会議長
- 第17代 関東若手市議会議員の会 会長
- 第33代 成田商工会議所青年部 会長
- 成田青年会議所OB
- 千葉県中小企業家同友会東総支部
- 千葉県富里高等学校同窓会 会長
- 中学校PTA会長
- 日本サーフィン連盟公認インストラクター
- 海上安全指導員
- ※歴任を含む
