雨宮:
那須塩原市や成田市は、共通点が多いですよね。人口規模や国際医療福祉大学病院があるほか、やはり「観光」を大きな産業として位置付けていることだと思っています。先日、関東若手市議会議員の会で講演いただいた、コロナ禍における「責任ある観光」の推進状況はいかがですか?
市長:
これまでの観光は観光客に主軸が置かれていましたが、コロナ禍での観光はそうはいきません。「住民の安心・安全」と「観光の持続性」をどう両立させるかが重要でした。「責任ある観光」(レスポンシブル・ツーリズム)は、観光客は大事なお客様である一方で、感染対策やマナーの徹底など、意識や行動に責任を持っていただくため、感染リスクが低い観光客を優遇するプログラムの策定をした他、事業者には安心・安全認証やPCR検査の実施などを進めてきました。
雨宮:
地域の特性を踏まえた独創的な取り組みですね!実は、この対策に強い感銘を受けまして、すぐ成田市議会で質問に取り上げた経緯があります。
市長:
本当ですか!びっくり、すごい行動力ですね!
雨宮:
これは成田市でもやるしかない!と。観光客も観光に携わる方も、双方を危険にさらすわけにはいきませんし、不安を抱えたままでは前に進めない。「責任ある観光」は、「どうぞ安心して成田にいらして下さい。」という気持ちで迎えることだと解釈しました。
市長:
まさにその通りです。成田は全国的に知名度が高いので、観光地としてのポテンシャルが高い。もっと、こういった政策を進めることで、盛り上げてほしいです。
雨宮:
はい!成田と言えば、成田空港が思い浮かびますが、成田山新勝寺という日本屈指の名刹があります。今でも多くの観光客がいらしていますが、まだまだ伸び代があると考えています。渡辺市長はこれからの観光を、どのようにお考えですか?
市長:
那須塩原市も観光で有名ですが、私は農業と観光をつなげて双方のブランド力をあげていきたいと考えています。観光で有名になればブランド力は上がりますが、観光と農業がバラバラだと農業が置きざりにされてしまいます。ガストロノミーツーリズムという、ただのグルメウォークではなくて、その土地の風土・歴史・習慣などの食文化に触れながら、食を楽しむといったようなツーリズムを推進したいですね。例えば、ぶどう畑を歩きながら「このぶどう畑でとれたワインです」みたいな感じです。食と農と温泉をつなげていきたいですね。
雨宮:
私も同じことを考えていました。じつは、成田市は荒廃農地が県内ダントツのワースト1位なのです。ブランド化をはじめ農業にスポットを当てていくことで、就農者も増やしていきたいですし、ワースト1位を逆手に取った観光と農業を結び付けた政策も推進していきたいと思っています。
市長:
是非、連携していきたいですね!だって、雨宮さんって生粋の成田っ子なのでしょう?若くして市 政に携わってきて、成田の良いところも悪いところも熟知している。おまけにニュージーランドへの留学経験もありますよね。日本を出て俯瞰した状態から見てみると、中にいる時には見えない色々なものが見えてきますから。あとは「行動」を起こすのみです!
雨宮:
ありがとうございます。この街が好きだし、仲間もたくさんいる。やはり、成田が大好きです。