成田空港「第2の開港」へ正念場(共同声明で決意)第4回成田空港滑走路新増設推進協議会開催
みなさんこんにちは、千葉県議会議員の雨宮しんごです。
12月24日、成田国際空港会社において「滑走路新増設推進協議会」が開催され、国・千葉県・成田市・芝山町・多古町・NAAの連名による「成田空港の更なる機能強化の推進に関する共同声明」が採択されました。

11月末時点での用地確保率は86.9%。
一見すると高い数字に見えますが、その推移を見ると事態の深刻さが浮かび上がります。
2025年3月末:約83%
7月末:85.3%
9月末:86.2%
11月末:86.9%
直近8ヶ月で約4ポイント、ここ2ヶ月では0.7ポイントの増加に留まっています。
NAAが目標とする「2025年度末までに確保のめどをつける」まで残り3ヶ月。
このペースでは目標達成は極めて厳しいと言わざるを得ません。
残る未取得地は144ヘクタール。全体の13.1%にあたるこの土地には、権利関係が複雑な案件や、補償の考え方や機能強化の必要性に理解が得られていない案件が集中しています。
典型的な大型用地取得プロジェクトと同様に「残り2割」を巡ってペースが大きく鈍化しているのが現状です。
2029年供用開始という約束
2029年3月に供用開始するためには、滑走路本体の造成、インフラ整備、舗装、誘導路、照明、保安施設、試験運用など、実工事だけで少なくとも3〜4年が必要とされています。逆算すれば、2025〜26年度中には滑走路本体エリアの用地が相当程度確定していることが求められます。
なお、現在公表されている確保率は「全体の約87%」ですが、重要なのはむしろその中身です。
滑走路芯線周辺など航空保安上クリティカルな部分の用地がどこまで確保されているかによって、工事着手の可否が変わってきます。この点が私からは見えないため、2029年供用への影響を正確に評価することは難しいのですが、専門家からは「このペースが続けば遅延リスクは小さくない」との指摘もあります。
共同声明に込められた意味とは・・・
今回採択された共同声明は、単なるNAA単独の要請ではなく、国・県・地元3市町が連名で発出することで、「この事業を国家として、地域として正式に後押ししている」という政治的重みを地権者に示すことだと私は考えています。
共同声明の全文には、成田空港の歴史を踏まえた文言が盛り込まれています。
「これまで、成田空港の歴史を踏まえて育まれた『共生・共栄』の精神に則り、この『更なる機能強化』に関しては、400回以上にも及ぶ説明会を開催するなど、地域の理解を得るべく努力してまいりました」
400回以上という数字。
これは、かつての成田闘争の歴史への深い配慮を表しています。強制収用を避け、あくまで任意取得・対話を重視するという姿勢は、当時の激しい対立への反省から生まれたものです。
実際、開港時に反対運動に身を投じていた方々の中にも、この拡張事業には推進の側に立っている方が数多くいらっしゃいます。2018年の4者合意は、そうした長い対話の積み重ねの上に成り立っているのです。
国際競争力と地域振興の両立
共同声明はまた、この事業の二つの側面を明確に打ち出しています。
一つは国際競争力の維持です。羽田空港はこれ以上の拡張が難しい中、近隣アジア諸国が拠点空港の機能強化を進めています。我が国が遅れをとらないためには、成田空港の機能強化は「待ったなし」の状況です。
もう一つは地域振興です。「豊かで活気にあふれた地域を創成し、そこに住む若者を含めた多くの人々が幸せな暮らしを営んでゆくための千載一遇の機会」という表現には、エアポートシティ構想への期待が込められています。熊谷知事もSNSで「県としても引き続き、関係市町と連携してできる限りの協力をしていきます」とコメントされています。
NAAは、10月下旬から2026年1月にかけて、周辺11市町で住民との対話型説明会を順次開催しています。私も先日、成田市役所で開催されたオープンハウスに参加してきました。
機能強化の概要、地域振興策、騒音対策などについて一通り説明を受けましたが、各地域からさまざまな立場の方々が足を運ばれており、お一人おひとりに丁寧に対応されている職員の皆様の姿勢を垣間見ることができる機会となりました。
成田市選出県議として
私は1978年、成田空港開港の年に生まれました。成田空港とともに育ち、成田空港政策を自身のライフワークとして取り組んでいます。
この「第2の開港」プロジェクトは、我が国の国際競争力にとっても、成田という地域の発展にとっても、極めて重要な事業です。
ですが同時に、空港周辺にお住いのお一人ひとりの地権者の方々の人生、生活、想いがかかっている問題でもあります。
残り3ヶ月で2025年度末を迎えます。
数字上の困難さは否めません。ですが、決して諦めることなく、丁寧な対話を重ね、一人でも多くの方にご理解をいただく努力を続けなければなりません。
国・NAA・県・地元市町が一丸となって取り組むという、この共同声明の重みを、改めて地権者の皆様にお伝えし、ご協力をお願いしていく。
それが今、私たちに求められていることだと考えています。成田市選出の県議会議員として、この歴史的プロジェクトの実現に向けて、引き続き全力で取り組んでまいります。
千葉県議会議員
雨宮 しんご
Shingo Amamiya
- 昭和53年(1978年) 10月31日生 血液型/B型(さそり座)
- はくと幼稚園・成田市立吾妻小学校
- 吾妻中学校・平成3年「少年の翼に入団」中国国際交流
- 千葉県立富里高等学校
- ニュージーランドPapakura High Schoolへ1年間留学
- 高千穂商科大学・明治大学公共政策大学院(修士)
- 成田市議会議員 4期
- 第41代 成田市議会議長
- 第17代 関東若手市議会議員の会 会長
- 第33代 成田商工会議所青年部 会長
- 成田青年会議所OB
- 成田ライオンズクラブ
- 千葉県中小企業家同友会東総支部
- 千葉県富里高等学校同窓会 会長
- 中学校PTA会長
- 日本サーフィン連盟公認インストラクター
- 海上安全指導員
- ※歴任を含む